転職活動中に出た内定。「ようやく内定をゲットできた!」と喜ぶ人、この企業の内定を受けるかどうかの判断に頭を悩ませる人などもいるでしょう。喜んでいる人も判断に迷っている人も、入社前に確認すべき事項がたくさんあるのはご存じでしょうか。

内定が出た後に届く内定通知書には、確認すべき項目がたくさん含まれています。入社するまでに出てくる書類には内定通知書と採用通知書、雇用通知書などがあります。それぞれがどのような意味を持つ書類なのか、確認すべき項目は何かをまとめましたので参考にしてみてください。

 

内定通知書と採用通知書の違い

 

まずは内定通知書と採用通知書の違いをご説明します。どちらも出さなければならないという法的な義務はなありませんし、採用通知書に関しては法的な定義もありません。つまり、どちらも内定です、採用しますという通知ということです。

内定というのは、内定を取り消すような事態(内定者が働けない状態になった、あるいは犯罪を犯した、もしくは業績悪化で経営上やむを得ない場合)などが発生したら、労働契約をかわさない合意を取ったという内容を含んだ労働契約のことです。

つまり、「大きな問題が起こらない限りは雇用契約を結びます」という意思表示をしてくれているということ。

ちなみによく聞く内定承諾書は内定を承諾するという約束の書面で、内定通知書や採用通知書とはまったく意味が異なります。注意しましょう。

内定承諾をした場合はその後に内定辞退ができないというわけではありませんが、承諾をした時点で雇用契約が結ばれているため、契約違反となります。もし相手先企業に損害(研修参加費用など)をもたらしてしまった場合は損害賠償などを求められる場合もありますので、簡単に承諾しないようにしましょう。

もし内定通知をされた段階で断るつもりがあるのであれば、内定通知をされてから時間をおかずに辞退の意思を伝えるのが大切です。企業側も内定を辞退された場合採用の予定人数に間に合わせるため、継続して採用活動を行わなくてはなりません。辞退にしても延長にしてもどういう意思を持っているのかわからないという段階で、相手を待たせることのないようにしてください。迷っているのであれば延長のお願いを、辞退するのであればその意思をすぐに伝えるようにしましょう。

 

もう1つの書類、労働条件通知書/雇用通知書は?

ではもう1つ、入社する時に提示される「労働条件通知書/雇用通知書とは何か」をご説明します。労働条件通知書/雇用通知書は、法的に必須とされている書類です。雇用された経験があれば、見た記憶がある人も多いはずです。

または労働契約書という書面に署名・捺印したという人もいるでしょう。労働条件通知書/雇用通知書を提示するのではなく、お互いに内容を確認してから雇用契約書を交わす企業も一定数存在します。

しかし、雇用契約書を出すという法的な義務はありません。なぜかというと、労働者が働く条件を確認できるよう書面を発行することは法律で決まっていますが、契約書を交わすことまでは法律で定められていないからです。

労働条件などの雇用する条件は、労働条件通知書/雇用通知書などで伝えることもできます。そのため、労働条件通知書/雇用通知書の提示だけでも法律上は問題ありません。ただ、「そんな書類は知らない」「事前説明がなかった」などとトラブルにならないように、双方が確認し、署名捺印するという風に進めている企業が一定数いるのです。

それぞれの書類にどんな意味があるのか、ご理解いただけたでしょうか?

 

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内定通知書で確認すべきポイントはここ!

では次に内定通知書に書いてあることで、よく確認すべきポイントを4つご紹介します。

 

1.入社日

まずは入社日を確認しましょう。面接で伝えていた希望通りの入社日になっているかを確認してください。まれに連絡の行き違いがあって、日付が前倒されているケースもあります。自分が入社するのが可能な日程になっているかどうかを確認し、面接で伝えている日程と違う場合はすぐに連絡を入れましょう。

 

2.入社準備書類(誓約書への署名印鑑、住民票などの身元保証書類)

入社準備書類の内容も確認しましょう。現職にお願いする必要がある書類や身元保証の書類など、取りに行く時間捻出も考えて対応する必要があります。内定を受けると伝えた後に内定通知書が届いたのであれば、書類はなるべく早くに提出するようにしましょう。もし、内定承諾を待っていただいているようであれば、待っていただける期日と書類の提出期限についても同様に確認しておくのが重要です。

 

3.内定取消事由内容の確認

内定取消事由についても触れてあるため、内容を確認しておきましょう。一般的に内定取消となる場合は、内定者に犯罪行為があった・事故や病気で働けなくなった・企業の業績悪化など経営上やむを得ない場合などが設定されています。それ以外の内定取消事由がないかはよく確認しておきましょう。もし内定取消事由について触れられていなければ、この時点で確認しておくことをおすすめします。

 

4.労働条件

労働条件についてもよく確認しましょう。労働条件が提示される前に内定を受けてしまうのは危険です。もし労働条件について何も書かれていない、あるいは面接と違う内容が書かれているなどがあれば、すぐ確認を取りましょう。

労働条件の詳しい内容としては、勤務地・勤務時間・休日休暇・給与・賞与回数(給与の何ヶ月分)などは、少なくとも「面接と違わないか」を確認しておいてください。内定を承諾すると、企業側は内定取消事由などで契約解除が可能ですが、内定者側が断ることは基本できないと思っておいてください。法的に問題はありませんが、企業側に迷惑をかけてしまうためモラル違反と認識されます。もし、内定承諾をした後に辞退をした場合は意思表示をして2週間で労働契約が解約成立すると定められています。

 

もし口頭のみで内定通知書をもらえなかったら?

口頭のみで「内定を出します」「内定をお受けします」という確認を取っただけでも、労働契約は成り立ちます。しかし、労働条件通知書/雇用通知書、あるいは雇用契約書が発行されるのは口頭での内定や内定通知書の提示よりも後となるケースがほとんど。

そのため、「面接で言った内容で内定と言われていたのに、雇用契約書の段階では内容が変わっていた」と言っても証拠がない状態となります。なにかあった時のために証拠を提示できるよう、もらっておくのがベターです。

入社前にトラブルになることは入社後の関係性にも響くため、お互い認識の齟齬を持たずに契約をするためにも、「勤務地・勤務時間・休日休暇・給与・賞与回数(給与の何ヶ月分)」などは履歴が残る形で提示してもらえるよう、お願いしましょう。転職エージェントを挟んでいる場合は転職エージェントにその旨伝えておく事が重要です。また、書面を発行するのに手間がかかる場合は、書面でなくてメールなど口頭以外の形に残る形式でもらえるようにお願いするといいでしょう。

内定前後に関わる書類や契約の成り立ち方、注意点をご紹介しました。入社前にトラブルにならないよう、必要な情報をぜひ覚えておいてください。

 

内定通知から承諾までの疑問に回答!

では最後に、内定通知から承諾までの疑問について回答していきます。

 

待ってもらえるのはどのくらい?

まず疑問に思う人も多いのが、内定通知から承諾までどのくらい待ってもらえるのかということです。一般的には内定の通知から1週間程度で採用の手続きなどに入るため、それが期限であることも多いです。ただ、企業が目標としている採用時期まで少し余裕がある場合や、あなたをどうしても採用したいという気持ちがある場合は、もう少し待ってもらえることもあります。企業によって異なりますが、新卒のときのように1カ月待ってもらうということは難しいため、1週間とプラスアルファと考えて承諾を延長するお願いをしましょう。

 

待ってもらうためのアプローチ方法とは?

「内定承諾を待ってもらいたい」という場合、どのようにアプローチすればいいのかをご紹介します。一般的には例えばこんないい方が考えられるでしょう。

「今回の転職は自分だけでなく家族にも影響する転職になります。そのため、しっかり納得して応援してもらえる環境を整えてからお受けしたいと考えております。大変申し訳ありませんが、◯月◯日までお待ちいただくことは可能でしょうか。」

あるいは面接の段階で内定承諾に時間がかかることを伝えておき、「先日申し上げた通り、今回を最後の転職にしたいと考えております。そのため、今受けている他社の選考結果を見て検討し、家族にも納得してもらってから進路を決めたいと考えております。つきましては◯月◯日までお待ちいただくことは可能でしょうか。」というように、待ってほしい理由を添えてお願いするのがおすすめです。

給与面の交渉をする場合などに交渉の材料として他社からの年収提示額が多いことなどを伝える場合がありますが、それに対して家族の納得を得るのにもう少々時間がかかるということも承諾を延長するのに伝える場合もあります。

ただ、仮に入社した場合に働きやすい環境を作るためにも、あまり印象を悪くしないように慎重に検討してから伝えるようにしましょう。

 

まとめ

内定が出た時はその喜びでつい気が緩んでしまうタイミングではありますが、入社前のトラブルが起きやすい時期でもあります。喜んだ後は改めて気を引き締めて、どうしていくのかを決めていきましょう。内定を辞退するにしても承諾するにしても、ご家族がいる場合は理解してもらえるよう配慮する必要があります。また、独身だとしても自分の将来を考え、その企業に入社するメリット・デメリットをよく検討して納得をしてから行動を起こすべきです。今回ご紹介した内容でトラブルなく転職が完了できるよう、参考にしてみてください。