転職の面接の際に意外と聞かれることが多いのが、キャリアビジョンについてです。志望動機や自己PRは準備していても、キャリアビジョンについては準備が不足している方も多いです。重要度が高い項目ですので、必ず準備を行うようにしましょう。

この記事では「なぜキャリアビジョンが必要になるのか」「キャリアビジョンに答えられる状態を作るには」「具体的な手順」をまとめてご紹介します。準備が不足している方や、今までキャリアビジョンについて考えたことがない方などは、ぜひ参考にしてみてください。

 

■キャリアビジョンとは?

 

キャリアビジョンについて話をする前に、キャリアとビジョンそれぞれの意味について振り返ってみましょう。キャリアは経歴や経験という意味を持ち、ビジョンは理想像や未来像、展望などの意味を持っています。

これらを組み合わせたキャリアビジョンは、これからの自分の経歴に対してどのような理想像や未来像を描いているかという意味になります。新卒の面接でも聞かれたことがあるかもしれませんが、中途の転職面接でも同様に重要な質問です。意外に聞かれる機会がありますので、しっかり準備をしておくようにしましょう。

 

■転職面接でキャリアビジョンを聞かれる理由

 

では次に、転職面接でキャリアビジョンを聞かれる理由をご紹介します。企業側は転職面接でキャリアビジョンを聞き、下記のようなことを把握しようと考えています。目的を理解して準備を行ってみてください。

 

・退職理由や志望動機と整合性が取れているか

転職面接の場合、退職理由や志望動機は必ず聞かれる質問です。退職理由や志望動機は明確になっているのに、キャリアビジョンを聞いたときそれと結びついていないケースが稀にあります。

整合性が取れていないこと=本心ではないことを言っている、と思われる可能性が出てきます。「退職理由や志望動機はその企業に受かるためによく思われようと準備したものの、キャリアビジョンについては準備していなかった」という場合は、整合性が取れていないことも多いのです。

整合性が取れていない場合、「将来のことを考えず条件の良いところに転職しようと考えている」「ネームバリューのある所に転職しようと考えている」などと企業側に思われてしまう可能性が非常に高いです。なぜ整合性が取れていないのかという点について深掘りされるため、本来自分がすべきアピールができずに面接が終了し、不合格になる可能性が高いです。

逆に退職理由と志望動機がキャリアビジョンとの整合性が取れていれば、入社してからのビジョンも描けているし、退職理由と志望動機を裏付ける説得力のある主張だとみなされるでしょう。このような理由で、キャリアビジョンと退職理由志望動機は全て連動しているのが理想的です。必ず整合性が取れるように内容を準備しておきましょう。

 

・すぐに退職しないか

転職者の中にはジョブホッパーと呼ばれる、短期間で複数の会社を転々とする人もいます。企業にとっては教育コストだけかかる人材であるため、できれば採用したくないというのが本音です。

ジョブホッパーの場合は短期間で転職を繰り返す=短期間で目標が変わっていくため、キャリアビジョンと退職理由、志望動機が連動できていないケースが多いです。整合性が取れない、ジョブホッパーの特徴を持っているとみなされた場合は、またすぐ退職をされると考えられ、不合格にされる可能性が高いでしょう。

 

・受け身ではないか

企業がキャリアビジョンを聞く理由としては、「受け身の人材を避ける」という意味もあります。受け身の人材は会社からの指示待ちになるケースが多く、自分自身で仕事を作って推進していくことができません。毎回会社が指示を出していくのは新人だけで、ある程度の年次になってくれば自分自身で自走できる状態が理想です。

企業で働きだした当初は一人前になるのに必死であるため、誰もが一人前になるという目標に向かって走っていく傾向にあります。しかしある程度仕事ができるようになってくると、自分自身で次の目標を設定する必要があります。しかしそれに気がつかず、企業側が用意してくれるのを待つ人材もいます。

自分自身のキャリアをどう描きたいかは自分自身で決めること。キャリアビジョンを自分で設定できる=自分で目標が設定できる人材ということです。つまり、受け身で仕事をするのではなく、能動的に仕事をしていける人ということがわかります。

こういった企業が望む人材かどうかというポイントを、キャリアビジョンに答えてもらうことだけで判断することができるため、非常に有効な質問だと言えるでしょう。

 

 

■キャリアビジョンに答えるために必要なこと

 

では次に、キャリアビジョンに答えるために必要なことをご紹介していきます。

 

・自己分析

まずは就活でも転職活動のときも欠かせない、自己分析を行ってください。自分自身が何を好きで何を嫌いか、何が得意で何が苦手なのかなどを知っておくことで、自分の特性を生かした働き方ができるようになります。また忘れていたエピソードを思い出してキャリアビジョンの裏付けとすることもできますので、人生を振り返る良い機会だと考えて実施してみてください。

 

・これまでの実績の棚卸し

自己分析で自分の好き・嫌いや得手・不得手がわかったところで、自分のこれまでの実績を棚卸ししてみてください。実績や経験とともに相手の評価等についてもまとめておくと、他者評価を伝えるときに役立ちます。他者からの実績の中でキャリアに生かせるポイントなどを丸付けしておくと、キャリアビジョンや志望動機などに使いやすくなります。

 

・やりたいことを見定める

自己分析で自分の特性を理解し、これまでのキャリアの棚卸しができたら自分のやりたいことを見定めるところからスタートしましょう。もし、やりたいことがない場合は自分の得意な分野が何か、働きたい働き方から考えるなど、どのような働き方・やりたいことがあるのかを明確にしてみてください。

 

・それに合う仕事選び(業種、職種)をする

やりたいことがあれば、業種や職種等が簡単に決定できます。しかし、ない場合は働き方や実現したい生活や収入などから考え、それを実現できる仕事(業種、職種)を探していくといいでしょう。実際にその業種や職種の人にヒアリングしてみるのも良い方法です。

 

・最終的な目標を実現するとどうなるのかを考える

自分の理想のキャリアビジョンが描けたら、「最終的な目標を実現したとき、自分がどうなるのか」を考えてみてください。具体的に想像することでキャリアビジョンがより明確に描けるようになり、キャリアビジョン実現のための具体的な道筋を予想できるようになります。

 

・キャリアビジョン実現のための道筋を理解する

自分が思い描いたキャリアビジョンを実現するためには、どのようなルートがあるのかいくつかのパターンで考えてみてください。そしてそのルートにはこれまでの経験や今の能力などを盛り込み、今回の転職希望先がキャリアビジョンの中でどの部分を担っているのかも盛り込むといいでしょう。そうすることで、キャリアビジョン実現から逆算してルートを決定していくことが可能です。

 

・現実的なプランに落とし込む

キャリアビジョンから現状を逆算してどういったルートができるかを考えたら、その中でも実現可能性が高いプランを選んでください。そして、それを実施するために「今年は何をやるのか」「この3ヶ月は何をやるのか」「この1週間・今日は何をやるのか」という細かい単位で現実の行動に落とし込むようにしてください。

ここまで落とし込めれば、あとは実行していくだけです。働いていると気がつけば日々に忙殺され、目標やキャリアビジョンを見失うことも多いです。しかしキャリアビジョンを見失ってしまうと、努力する方向性がぶれてしまったり、成長スピードが極端に落ちたりする可能性があります。そうならないために現実的なプランに落とし込むことが重要になってくるのです。

 

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■転職面接でキャリアビジョンを答えるときのポイント

 

では最後に転職面接でキャリアビジョンを答えるときのポイントをご紹介します。

 

・過去からの一貫性

今回の転職が初めての場合は就活で、複数回転職をしている場合は前職の転職活動からなど過去に選択してきた就職先選びもキャリアビジョンとつながってくるようにしましょう。

過去の決断から一貫性があれば、さらに説得力のあるアピールとなります。途中でキャリアビジョンの変更があった場合はその理由も含めて説明をし、一貫性を失ったわけではないことを理解してもらいましょう。

 

・なぜこの会社でなければならないのかを明確に

キャリアビジョンを伝えただけである程度その会社でなければならない理由は伝わりますが、改めてこの会社の志望動機についても十分に説明を行いましょう。キャリアビジョンという方向性があって志望動機を伝えるのと、志望動機だけを伝えるのとでは説得力が大きく変わってきます。

 

・選考状況を聞かれたときも一貫性ある答えに

キャリアビジョン、退職理由、志望動機が一貫していても他社の選考状況を聞かれたときにキャリアビジョンからずれた企業の選考を受けている場合、一気に信用性が下がってしまいます。選考状況についても抜け漏れなくキャリアビジョン、退職理由、志望動機との整合性が取れるよう準備を行っておいてください。

 

■まとめ

 

転職面接でキャリアビジョンを聞かれる理由や、聞かれた場合の答え方についてまとめてご紹介しました。面接の時にもちろん重要になることですが、充実した仕事生活を送るため、目標とするキャリアに到達するためにも非常に重要なポイントとなります。自分で目標を設定し、自走できる人材になるためにもぜひこの記事を役立ててみてください。