「こんなはずではなかった」「思っていたのと違う」など、転職ではミスマッチが起こることも多いです。転職者が感じるミスマッチの方がクローズアップされがちですが、これは転職者だけの問題ではありません。

企業側も同じように入社してくれた人に対して、「思ったよりもパフォーマンスを上げてくれない」「社風に合わない人を採用してしまった」などのミスマッチを感じているのです。お互いに不幸な状態になってしまうミスマッチはなぜ起きてしまうのか、その理由と改善方法をまとめてご紹介します。

お互いが幸せになる転職を実現するために、ぜひ参考にしてみてください。

 

転職でミスマッチが起こる原因

転職でミスマッチが起こる原因は企業側、求職者側両方にあります。まずは、それぞれが採用活動転職活動の最中に行ってしまいがちなポイントをご紹介します。

 

ミスマッチを感じさせてしまう、企業側の原因

企業側が求職者にミスマッチを感じさせてしまう原因としては、下記4点が当てはまります。それぞれがどんなミスマッチを引き起こすのかも解説します。求職者のみなさんは企業内でこんなことが起こっているかもしれないことを想像しながら、選考を受けるようにするとその会社の状況を適切に判断できるため、ぜひ参考にしてみてください。

 

・良く見せようとしすぎる

まずは、良く見せようとしすぎることです。「採用競合に自社が採用したい人材を奪われたくない」「優秀な人材だからぜひ入社してほしい」という思いが強く、入社するメリットを実際よりも大きく伝えてしまう場合があります。これでは入社後に「話に聞いていたことと違う」と、ミスマッチを感じさせてしまうでしょう。

求職者の方は実情をヒアリングできるように、志望先企業に勤める人から話を聞く、あるいは近しい企業に勤めている人に状況をヒアリングするなどを行い、悪い部分もヒアリングしておくとバランスが取れ、ミスマッチが起きづらくなります。

 

・悪い部分を隠す

良く見せようとしすぎることとも共通しますが、入社する前の人にとって「現場と人事の中が悪い」「力を入れている分野であまり成績が振るわない」などの情報はマイナスに感じられるものです。悪い部分を隠そうとしてしまう気持ちが出てしまうため、良い部分だけをアピールしたり、悪い部分にあまり触れないようにしてしまう場合も多いです。

入社後に「そんな話は初めて聞いた」と、信用を失ってしまうようなミスマッチを起こす原因となります。「これも良く見せようとしすぎる」の項目と同じように、実情をヒアリングすること、そして上場企業であればIR(財務情報)が公開されていますから、その内容を見て悪い部分を予測しておくようにしましょう。

 

・その時期に採用すべき人材を勘違いしている

これは自覚がないため改善するのが難しい事例です。その時期に採用すべき人材を勘違いしたため、会社の現状(成長段階)に合わない人材を採用してしまうケースがあります。

例えばスタートアップ企業で、本来即戦力しか採用できないような時期に優秀だけれども業界は初めて経験する人を採用し、教育ができずにパフォーマンスを発揮させられなかったということはよくある話でしょう。

採用された人は「業界未経験だと伝えたのに何も教えてもらえない」と感じるはずです。もう少し大きくなり余裕が出てくれば業界未経験でも素養のある人を採用して育成していけるのに、時期がずれていたことでお互いに不幸になってしまう事例です。

これを防ぐには企業の経営計画を見て、人事が必要人材を経営陣と確認しながら進めることで防げます。「悪い部分を隠す」の項目でご紹介したようにIRを見るか、実情を面接の場でヒアリングしておくといいでしょう。

 

・人事と現場で求める人物像にズレがある

人事と現場で求める人物像にズレが生じている場合も、ミスマッチが起こりやすいです。

現場は業務負荷が高く欠員が出ているため、経験者の求人募集を人事に依頼。しかし、人事としてはなかなか採用が難しいシーズンであったため、未経験者まで枠を広げて採用を実施しました。結果、優秀な第二新卒の方が採用できたという場合を例に挙げます。

入社した人は「即戦力の人しか無理な仕事じゃないか」と感じるでしょうし、現場は「なんでこんな大変な時期に第二新卒を採用したんだ。教える余裕なんてないよ」と感じるはずです。人事は採用が難しいことはわかっていても現場への理解が乏しく、逆に現場は採用が難しいことはわかっていない状態です。お互いの状況をすり合わせて妥協できるポイントを見つけることが必要になるでしょう。

 

ミスマッチを感じさせてしまう、求職者側の原因

企業側にミスマッチを感じさせてしまう求職者側の原因としては、下記5点があります。求職者側の原因を取り除く方法は、次の章でご紹介します。

 

・良く見せようとしすぎる

企業側と同じように、「自分を選んでほしい」「どうしてもこの企業に入社したい」という思いが強ければ強いほど、実際よりも良いと思ってもらえるような発言が多くなります。しかし、実物以上によく見せようとしてしまうと、入社した後のギャップに自分が苦しむことになりますので、等身大の自分で勝負できるように準備をしていきましょう。

 

・悪い部分を隠す

悪い部分を隠すのも、企業側と同じような理由です。悪い部分は素直に認め、「どう改善していくのか」と話す方がミスマッチがなくなりお互いに幸せな転職が実現します。

 

・他者評価と自己評価のズレ

自覚がないため直しづらいのが、他者評価と自己評価のズレです。この差が大きければ大きいほどミスマッチが大きくなっていきます。他者評価が高ければ自分の実力を過小評価していることになりますので、転職で勝ち取れる収入などが大きく変わってくる可能性があるでしょう。

また、逆に他者評価よりも自己評価が高い場合は、仮に入社できたとしても「実力が不足しているのにできると言っていた」という評価に変わってしまうため、かなり厳しい状況に追い込まれてしまう可能性が高いです。

 

・自分がやりたいことを勘違いしている

自分のことを理解できておらず、やりたいことを勘違いしてしまっている人もいます。やりたいと思い込んでいたものが、実は自分に向いていなかったという場合、企業側だけでなく、自分自身にもミスマッチを感じさせることになるでしょう。

 

・やりたいことをすぐにやれると思っている

「やりたいことをすぐにやれると思っている」というミスマッチ原因は、新卒など社会人経験があまりない人に多いです。これは、組織に対する理解が足りないことで起こります。

 

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求職者側ができるミスマッチを防ぐ方法

では5つのミスマッチ原因を防ぐためには、どうしていけばいいのかを解説します。

 

対企業

まずは対企業に行うことをご紹介します。

 

・情報を仕入れる

「そんな話は聞いていない」「こんなはずではなかった」などと感じるミスマッチは、企業側が良く見せよう・悪い部分は隠そうとするから起きるのですが、企業側に変わってもらうことは難しいです。

そのため、求職者側が自分で情報収集をすることで補完していきましょう。まずは業界、企業研究を念入りに行ってください。IRやホームページの情報、説明会があれば説明に行き、新卒時代のようにOBOG訪問のようなことをして現状の情報収集を行ってください。

そして自分の社会人経験を利用し、「◯◯分野ではA社に負けているが、最近B社(志望先企業)は△△分野の採用を強化している。ということは、きっと新サービスの開発がうまくいき、拡販の段階に入ったのだろう」などと想像し、自分に求められるスキルや仕事を想像した上で面接に臨むことが重要です。

面接では逆質問の時間もありますので、不足している情報があれば情報をヒアリングし、これまで想像できなかった部分に当てはめた上でさらに質問をすれば直接確認することも可能です。うまく逆質問の時間を活用しながら、企業理解を深めていきましょう。

 

・働き方を想像する

転職の場合は自分が行く組織が応募時点で決まっていることが多いため、部署や課の人数やを把握できればどのような動き方をしているのかが想像できるはずです。組織のピラミッドを想像して、自分がやる仕事や可能なキャリアアップ方法、そしてキャリアアップが可能そうな時期も想像できるでしょう。

また、社会人経験を経たことで「このくらいの売上高で社員数が何人だから1人あたりはこのくらいの売上。サービス単価が◯万円だから…」と、具体的な働き方もイメージできるはずです。情報がないのであれば想像で補っていくように心がけてください。

 

対自分

次に、勘違いしていることも多い自分に対して行うミスマッチを防ぐ方法です。

 

・自己分析

ミスマッチの大きな原因は、圧倒的に自己分析が足りないこと。自分を勘違いしないためにも「現職で働く前に思っていた入社理由」と「今回退職したい理由」、「現職でギャップに感じたこと」などを書き留め、何が原因かを探っていきましょう。入社理由と退職理由に関連がなければ、そこに勘違いの原因が眠っているはずです。

 

・将来設計を改めてやる

次にやりたいことの勘違いを防ぐために「改めて自分は何がやりたいのか」を確認してください。自分の好き嫌いや得意不得意を自己分析で洗い出した後に、将来設計と組み合わせてみてズレがないかを確認すると、勘違いしていたポイントに気がつけるはずです。

 

・他者評価を集める

現職で褒めてもらったこと・注意されたことなどを正直に抽出してみると、他者評価を冷静に受け止めることができます。自己評価とのズレがないかを確認するためには、信頼できる上司に正直な感想をもらうのが一番でしょう。また、そういった相談ができない場合は、転職エージェントなど客観的な目線を持つプロに判断してもらうことが重要です。市場価値は会社の中にいるとわからないものなので、定期的に自分の市場価値を知るようにしておくと転職活動にも役立ってくるはずです。

 

まとめ

転職ではミスマッチに悩む企業、求職者がとても多く生まれています。しかし、求職者側が気をつけるポイントを知って行動するだけで多くのミスマッチは防げるようになるはずです。自分で企業の情報を集め、改めて自分の分析を行うこと、そして社会人経験を基にした想像力を働かせることで、自分に本当に合う企業を見抜けるようになってきます。

ミスマッチでお互いが不幸になる転職をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。