新卒面接と中途面接では多くの点で異なります。そもそもの採用の目的も違いますし、面接の回数やフローも異なります。求めているスキルが違うため、見られているポイントも変わります。それらをしっかり理解し、準備し、臨むことができれば、自分が求める結果を得ることができる可能性が高まります。
■そもそもの採用の目的が違う
新卒採用と中途採用ではそもそもの目的が異なります。一言でいうと、新卒採用は「ポテンシャル採用」で、中途採用は「即戦力採用」になります。まずはそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
<新卒採用のメリット>
①文化や技術の伝承
まだ社会に出ていない新卒は、まだ型が確立していないため、さまざまなことを吸収する力を持っています。「真っ白な存在」や「スポンジのような存在」と言い表されることもあります。他の会社で働いた経験のある中途の場合は、すでに他社の文化ややり方が少なからず染み込んでいるのに対して、新卒はそういったことがありません。会社特有の文化や技術を伝承していくことができるメリットがあります。
②新しい風を吹き込む
同じメンバーばかりで仕事をしているとマンネリになったり、モチベーションが下がってしまうことがありますが、新卒のような若い力が加わることで、より明るく・より前向きな雰囲気になることがあります。先輩社員も良いところを見せようと、モチベーション高く仕事に取り組むこともあります。入社後すぐは経験もスキルもないため、成果を出すことは難しいですが、空気を変えることはすぐにできます。
③同時に研修ができる
新卒一括採用をしている企業では、入社日が同じであるため、新入社員全員を同時に研修することができます。一人ずつ毎回研修を行うより、時間もコストも削減できます。
<新卒採用のデメリット>
①学生のときとの大きなギャップを感じる
やはり学生と社会人では異なる点が多くあります。例えば、学生のときはある程度接する人を選ぶことができるため、相性が良くない人とは距離をとることができますが、社会人になるとそうも言っていられません。一緒に仕事をする人を選ぶことはできませんし、もちろん顧客を選ぶこともできません。周りの人に自分のことを理解してもらうことも大事ですが、それよりも周りを理解する方が重要になります。
他の大きなギャップは時間の制約になります。学生は長期連休が多くありますが、社会人はそこまで多くありません。特に大学生のような、1ヶ月~2ヵ月の長期休暇はありません。大学4回生は特に受講する授業数が少なく、自由に使える時間が多いため、その状況から一気に自由に使える時間が少ない社会人になると、とても大きなギャップを感じることになります。
また、社会人はさまざまな成果を求められるため、日々学び、成長していかなければなりません。学生のときとの違いは、学びに行く姿勢です。基本的に受動的に学ぶことができる学生と違って、社会人にあると能動的に学びにいかないといけなくなります。「教えてくれないから」という言い訳は社会人には通用しません。教わりに行くという姿勢が重要になります。
②成果を上げるまでに時間とコストがかかる
①のように学生と社会人では多くの点で異なるため、キャッチアアップし成果を出すまでに多くの時間とコストがかかります。さまざまな研修や教育をしても、成果を出すまでに退職することも少なくありません。そうなると会社側からすると、マイナスでしかありません。
<中途採用のメリット>
①即戦力として期待
中途採用を行う一番のメリットは即戦力を採用できるところです。新卒は一からノウハウを教えていかないといけなく、始めのうちは「給料を払いながら仕事を教えている」という状態になることも少なくありません。しかし中途採用は、始めからある程度の経験やスキルを備えているので、すぐに役に立つ人材として活躍してもらうことができます。
新卒採用のデメリットで挙げた「②成果を上げるまでに時間とコストがかかる」の逆のパターンですが、教育に必要な時間とコストが少ない点も中途採用のメリットといえます。
②新しいノウハウやメソッドを獲得
中途採用のメリットは即戦力を期待できる点だけではなく、新しいノウハウやメソッドを提供してくれる可能性がある点です。前職の方が優れている点を知ることで、より良くしていくことができます。変えられないところもありますが、さまざまな点においてブラッシュアップしていくキッカケになります。
<中途採用のデメリット>
①定着しない可能性がある
会社の文化を浸透させやすい新卒とは違い、ある程度自分をもっているため、社風が合わずにまた退職する可能性があります。会社や仕事をコロコロ変えているような人は、またすぐに飽きて辞めてしまうリスクもあります。どれくらいやる気があるのかを見極めないと定着する人を採用することができません。
②やり方が確立しており柔軟性に欠ける
中途の人は、今までの経験値や成果を出してきたプライドをもっているため、「こうすればもっと良くなる」「前の会社ではこうして成功した」と自分のルールを貫こうとするところがあります。会社の風潮に合わない強引な方法で仕事を進め、トラブルやクレームを起こすリスクもあります。
■新卒面接と転職面接の方法や流れの違い
新卒面接と転職面接の違いを3つご紹介します。
<違い①:面接回数>
新卒面接ではポテンシャルを重要視するため、把握することが難しく、選考回数が多くなります。中途採用は一般的に2回の面接に対して、新卒採用では4~5回の面接を行います。面接の回数が多い分、応募から内定までに2~3ヶ月かかります。中途採用は数週間~1ヶ月程度になります。
<違い②:選考形式>
「求めるスキルや経験をもっているか」チェックする中途採用と異なり、新卒採用では会ってみないとわからない部分が多いため、選考を受ける人の数が違います。中途採用に比べて圧倒的に新卒採用の方が面接を行う人数が多いです。多い人数一人一人に時間を使っていては、業務に支障をきたすため、1次選考や2次選考に集団面接やグループディスカッションを導入している企業は多いです。転職面接は基本的に個人面接になります。
<違い③:情報収集の場>
優秀な人材を早めに確保しておきたいという企業側の思惑もあり、最近はインターンシップが盛んになってきています。他にも合同説明会や大学での説明会など、新卒ではさまざまな情報収集の場が用意されています。中途の場合はそういった場がほとんどなく、自分で調べていくしかありません。
■見られるポイントの違い
上記で、新卒採用と中途採用のメリット・デメリットを紹介しました。それぞれに求めているものが違うため、面接内で見られているポイントも異なります。どのようなポイントの違いがあるのかを説明していきます。
<見られるポイントの違い①:どんなスキルをもっているか>
新卒と中途では求められるスキルが異なります。当たり前ですが、新卒は社会人としての経験がないため、業界や職種特有のテクニカルスキルをもっていません。ポテンシャル採用ですので、コミュニケーション能力や地頭の良さなどのポータブルスキルと呼ばれる、汎用性の高いスキルを求められます。中途採用の場合は、ポータブルスキルはもちろん、社会人マナーや社会人としてのしっかりとした考え方を持っているかも見られます。
<見られるポイントの違い②:定着してもらえるか>
新卒・中途に限らず、長期的に活躍してほしいと企業側は望んでおり、定着してもらえそうかの観点でも見ています。中途面接の場合は、退職理由を聞くことで定着してもらえるかを判断しています。新卒の場合は、当然退職した経験が無いので、学生時代のエピソードなどを元に継続性が高いのか、すぐ辞める性格ではないかをチェックしています。
<見られるポイントの違い③:マナー>
3つ目の違いは「マナー」になります。中途は社会人としてのマナーをしっかりと身についているかを確認されます。新卒は一般的なマナーがある人なのかを見られますが、少々マナーがなくても社会人になってから身につけることができるため、熱意で何とかなります。
■共通して見られるポイント
<共通して見られるポイント①:熱意があるか>
新卒も中途も関係なく、熱意があることをアピールすることはとても重要です。前面に熱意が出る人もいれば、内に秘めているような人もいるため、どちらの方が良いというわけではありません。熱意をもっていると判断されるよう言動を心がけると良いでしょう。
<共通して見られるポイント②:主体的であるか>
仕事をしていく上で主体的に行動できるかはとても重要です。なんでもかんでも教えてもらえたり、顧客の方から来てくれることは少ないため、主体的に勉強したり、主体的に顧客に提案していくなど、自分で考えて能動的に動いていく力が必要になります。今までの経験の中で、成果を出したエピソードや難しいと感じたエピソードなどを聞くことで、主体性が高いかどうかを判断しています。
<共通して見られるポイント③:協調性があるか>
仕事は一人で進めることはできません。基本的にどの業界のどの職種でも、自分一人のみで仕事を完結させることはできません。いろんな人と協力して仕事を進めていくため、協調性がとても大切です。協調性がない人がいると、全体の生産性が下がってしまいます。過去の経験を話すときに、どう周りを巻き込んで最大の結果を出すようにしたかをアピールできると良いでしょう。
■まとめ
新卒面接と転職面接の違いを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。転職面接に臨むにあたって、新卒面接との違いを理解することはとても大切です。新卒のとき以来の面接の人もいると思います。転職面接を行う背景から、どういうスキルを求められており、どういうポイントをチェックされるのかを十分に理解しましょう。