クライアントの悩みを吸い上げ、解決策を提示するという点で、営業とコンサルタントは非常に似ています。
しかし、本質は全く異なることをご存知でしょうか。

今回は、営業とコンサルタントの違いを解説します。

違いを正しく理解することで仕事選びの選択肢が変わるかもしれませんので、目を通してみましょう。

■1.ビジネスモデルの違い

営業職の場合、販売した自社の製品・サービスに対して料金を請求します。

自動車メーカーであれば自動車の生産にかかる金額を、ソフトウェア会社であればソフトの開発やパッケージソフトの販売にかかる金額を頂戴するイメージです。
出張版の販売職に近く、ニーズに合わせて提案商品を変えながら自社の強みをアピールしていくのが仕事と理解するのがよいでしょう。

コンサルタントの場合、アドバイスすることそのものに対して料金を請求します。

自社で製品やサービスを保有していない場合も多く、クライアントが抱えている幅広い問題をどう解決するか、一緒に悩みながら考えるのが仕事です。
利用している製品・サービスが適しているかどうか以外にも、業務効率・人事体制・社内コミュニケーション・成長戦略の至るところまでメスを入れ、改善案を提示していくのが仕事です。

自社商品を売るかどうかで区別をつけると、ビジネスモデルの違いが分かりやすくなりそうですね。

■2.提案の幅の違い

営業もコンサルタントも顧客に合わせて提案内容を変える必要がありますが、提案の幅が異なるのが特徴です。

営業の場合、自社にある商品のなかから最適だと思われるものを提案します。

A商品・B商品・C商品と3つの商材がある場合、クライアントにはどの商品が適しているか考えて内容を変動させます。
完全にオーダーメイドで1から商品を作るような特殊な案件を除き、基本的に商品の内容は変わりません。
限られた選択肢の中から、ベターなものを提案していく仕事だと考えましょう。

コンサルタントの場合、クライアントごとに提案内容を全て入れ替えます。

クライアントによって悩みの根本が異なるため、使用するツールから解決案まで全て個別に作ります。
自社商品のなかから解決案を提示する必要がなく、特定の製品を紹介する以外にも社内システムや人事案の改革を提案するケースもあるでしょう。

自社が対応できる範囲内で提案するのが営業、提案の幅に制限がないのかコンサルタントだと分かります。

■3.クライアントが抱える悩みの違い

営業として出向く場合、ほとんどの場合クライアントの悩みが既に明確になっています。

「こういう問題があるから、それを解決できる製品を提案してほしい」
「既に使用している製品から乗り換えたいので、競合である御社に相談したい」
など、ある程度ニーズがはっきりしていることが多いでしょう。

その悩みとニーズが解決案としてベストかどうか判断する必要はありますが、第一声でどんな悩みを打ち明けられるかによって、おおよその提案を事前に準備しておくことができるのです。

コンサルタントとして出向く場合、クライアントの悩みが明確になっていない場合があります。

「なぜか去年から売上がガクンと下がった。理由を探してほしい」
「毎年内定者からの辞退が多い。原因に思い当たるものがない」
という相談が多く、クライアント自身なにから手をつければいいか分からなくなってしまっているケースも多いです。

既に自社内でいくつかの方策を考えて実行していることもあるため、クライアントですら気づかない根本的な問題を発見する必要があるでしょう。

営業は悩みから生じるニーズに対応する仕事、クライアントはそもそものニーズを探していく仕事、と理解するのがよさそうです。

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■営業に向いているタイプ

次に、営業とコンサルタント、それぞれに向いている適正を紹介します。
自分がどちらの道に進むべきか迷っている人は、参考にしてみてください。

自社内での競争が好きな人

営業は、数値で明確に結果が出る仕事です。
売上額が1円単位で出るため人事査定が成果ベースになりやすく、自社内での競争も激しくなるでしょう。

その分、若手であっても能力次第で十分出世できるのが強みです。

結果を出すことで出世競争の波に乗りたい人や、自分の腕一本でのし上がっていきたい人は、チャレンジしてみましょう。

数字目標の達成にやりがいを見出す人

営業は、月ごと・週ごとに売上目標が課されることも少なくありません。
評価の基準が「目標を達成したか、していないか」で分かれることも多く、結果を数字で示し続ける必要があります。

こうした数字目標の達成にやりがいを見出す人は、営業に向いています。

学生時代からテストの点数や走る速さなど数字で競うことに慣れていた人は、適正があるかもしれません。

■コンサルタントに向いているタイプ

同様に、コンサルタントに向いているタイプを紹介します。

答えのない問いを探すのが好きな人

コンサルタントは、クライアントですらゴールを把握できていな問題に取り組む仕事です。
1から手探りでゴールを探す仕事になるため、長期的な目線が欠かせないのも特徴です。

そのため、答えのない問いを探すのが好きな人に向いています。

また、同じものを多角的に捉えられる人や、既存の考え方を捨てて新しいアイディアが出せる人も活躍のチャンスがあるでしょう。

クライアントに頼られることにやりがいを見出す人

数字評価よりも、信頼と実績を集めることにやりがいを見出す人に向いています。

コンサルタントは商品やサービスの質に左右されない確実な提案力が武器になるため、転職して会社を離れてもそのコンサルタントを頼って相談してくれるクライアントが多いです。
会社の看板に価値が左右されない、唯一無二の存在になれるかもしれません。

自分自身の市場価値やキャリアを重視したいのであれば、コンサルタントに挑戦してみるとよいでしょう。

■まとめ

営業とコンサルタントは、似て非なるものです。
ビジネスモデルも、提案の幅も、クライアントのニーズも大きく異なりますので、ポイントを抑えておきましょう。

自分がどんな提案力を持ちたいかによって、選ぶべき道は変わります。
10年後20年後の自分を想像しながら、仕事選びをしていきましょう。