営業職が取り扱う商材として有形商材があります。有形商材の特徴を理解すると、営業に必要なスキルや能力が浮かび上がってきます。今回は、有形商材の特徴や種類、無形商材との違いなどを解説します。有形商材の営業ならではのやりがいにも触れているので、これから転職を検討している方もぜひ参考にしてみてください。

■有形商材とは?

そもそも商材とは、経済活動で開発・生産・流通・交換のプロセスで取り扱われる販売の対象です。その対象のうち視覚的に物体として認識できる商材が有形商材です。

たとえば、食品や衣類、家電、不動産などは目に見える存在であるため、有形商材に該当します。毎日食べているお米、仕事で使っているタブレットなど、有形商材の例は挙げればきりがありません。

その点をふまえると、有形商材を販売する営業職の活躍の幅は多岐にわたるといえるでしょう。

■有形商材の特徴

有形商材は物体としての性質を持ち、開発費や材料費が発生する点に大きな特徴があります。たとえば、自動車がよい例でしょう。

車のデザイン・コンセプトの検討からはじまり、イメージの立体化・図面化を行っていきます。プレス機で鋼板を加工して、サイズの異なるさまざまな部品を製造していく流れです。

また、有形商材は工場で大量生産できるため、商材ごとの品質にばらつきが生じにくいという特徴もあります。ITシステムの例を考えるとそのことがよくわかります。

たとえば、ソースコードを入力するプログラマーによって、システムの品質は変わってきます。スキルが低いと、セキュリティー性能が低くなったり、バグやエラーが発生したりするケースもあるでしょう。

その点、有形商材に関しては生産ラインが適切に維持されていれば、不良品も発生しません。一つの商材について知識を深めていけば、自信をもって商材の魅力を伝えられます。

■有形商材の種類

有形商材は原料を組み合わせて製造されて、商品として目に見える形で提供されます。その点をふまえて有形商材を区分すると、主に製品系と原料系に分けられます。

▷種類1.製品系

製品系の有形商材はすでに加工された製品です。たとえば、自動車やパソコン、家具などです。製品系の有形商材は、競合商品の情報が得やすいという特徴があります。

たとえば、WEBサイトや販売店舗、コマーシャルなどの広告で価格やデザイン、機能などを確認することが可能です。他社の商品を分析し、自社商品ならではの魅力を打ち出すこともできるでしょう。

▷種類2.原料系

その一方で原料系の有形商材は、加工される前の原材料や素材です。たとえば、食材や化学素材などが挙げられるでしょう。ビジネスで製品や食品を製造するときには、原材料や素材が不可欠です。

利用者からすれば、生産プロセスで性能がよくて低価格の材料を導入できれば、利益を高められます。

原材料のコストに悩みを持つ顧客であれば、リプレイスを検討してもらえるチャンスも十分ありえます。リプレイスによって得られる利益をわかりやすく正確に伝えることが、成約の鍵を握るといえるでしょう。

■有形商材と無形商材の違い

有形商材と反対の意味をなす商材に無形商材があります。無形商材とは、有形商材と違って視覚的に物体として認識できない商材です。

たとえば、コンサルティングサービスで提供する情報がよい例でしょう。コンサルティングでは解決策をアドバイスして対価として報酬を受け取ります。しかし、解決策はあくまで情報であるため、物体として視覚的に認識できません。

シンプルな違いを挙げるとすれば、手に取って相手に渡せるかどうかも、有形商材と無形商材を見分けるポイントだといえるでしょう。

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■有形商材営業のやりがいとスキル

有形商材営業は、物体として視覚的に見える商材を扱う営業であり、無形商材とは違ったやりがいを与えてくれる仕事です。ただ、視覚的に見える商材を扱うがゆえに求められるスキルもあります。有形商材の営業職ならではのやりがいとスキルを確認してみましょう。

▷人の役に立っていることを実感しやすい

有形商材は無形商材と比べると、物体として視覚的に認識できるため、商材を人に使ってもらっていることを実感しやすいです。

たとえば住宅営業であれば、実際に販売した住宅に人が住んでいる光景を見ることができます。

反対に、動画のネット視聴に関するサブスクリプションサービスの成約が取れたとしましょう。

アプリは物体ではないので、実際に使ってもらえているのか視覚的には把握できません。DVDを直接レンタルしている販売スタッフのほうが、商品を手渡している点でやりがいを感じられる可能性は高いかもしれません。

したがって、人の役に立っていることをシンプルに実感したいのであれば、有形商材営業が適しているといえるでしょう。

▷ニーズ開拓力やマーケティング能力が求められる

有形商材の場合、すでに商品が導入されていることが多く、リプレイスを目的に営業をかけることになります。

しかし、すでに導入されている有形商材をリプレイスさせるには、押し売りでは通用しなくなっています。というのも、すでにある有形商材で生活やビジネスが問題なく成り立っているケースもあるからです。

その点をふまえると有形商材の営業では、ニーズ開拓力やマーケティング力などが求められます。

わかりやすくいえば、消費者のニーズと欲求を浮き彫りにして、課題を解決する製品を適切な価格で販売する能力です。

ただ、ヒアリングして情報を集めればよいのかといえば、そうではありません。ヒアリングした内容から仮説を立て、顧客の本質的な悩みを探る必要があります。

したがって、有形商材の営業では、収集したデータを分析する力も磨いていかなければならないといえるでしょう。

■まとめ

以上、有形商材の特徴をはじめ、有形商材を取り扱う営業職のやりがいや必要なスキルなどを解説しました。

有形商材は無形商材と違って物体として視認できますが、すでに導入されていることがあり、リプレイスの提案をする傾向があるとわかりました。

顧客が持つ潜在的な悩みを引き出すためのヒアリング力や仮説検証能力が求められます。これから有形商材の販売に挑戦する方は、「売ること」よりも「知ること」を意識してみるとよいでしょう。