次の職場では腰据えて長く働きたい。そう思う方にとって、老舗企業であれば長く働けるのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、老舗企業だからと言って長く働けるかというと、それは違います。人によって合う合わないがありますので、ここでは老舗企業で働く良さってどういうところ?メリット・デメリットや、どういう人が老舗企業に向いているかについて紹介します。

 

そもそも老舗企業って?

老舗企業とは一体どういった企業を指すのでしょうか。新しいアイディアや技術をもとに、新しいビジネスやサービスを展開する企業を「ベンチャー企業」や「スタートアップ企業」と呼ぶことに対し、明確な基準はないものの創業してから100年を超え、長きにわたりサービスやビジネスを展開している企業のことを「老舗企業」や「長寿企業」と呼ぶことが多いです。

 

老舗企業で働くメリットとデメリット

<メリット>

①安定性・将来性がある

長年、ビジネスを継続できた理由はさまざまありますが、独自の技術力・サービ力や顧客との強いつながりを持っている企業が多いです。そのためなかなか他社が参入することが難しく、今後も安定した業績を出していけるでしょう。ベンチャー企業とは異なり、売上や利益が急速に上がったり下がったりすることは少ないですが、モノを作り親身なサービスを提供し続けることで、安定した会社の経営基盤やそこで働く人の生活基盤・地域社会の基盤が確立されているため、現状維持か低い成長を続けることができます。

②仕事のやり方が確立されている

どんどん新しいことにチャレンジするというより、今までのやり方をブラッシュアップし続けたことにより、確立された仕事のやり方があります。マニュアルやルールがしっかりしているため、誰もが一定の成果を出すことができます。同じようなやり方で多くの人が仕事をしてきたため、あらゆるパターンのノウハウが蓄積されています。

③良い意味でまったりしている雰囲気であることが多い

無理してでも利益を伸ばす、会社を大きくするという雰囲気ではないため、仕事もそんなに大変ではないところが多いです。仕事の進め方が決まっており、そこまで業務量も多くないことから、残業が比較的少ない傾向があります。より大きな成果を出したいとの想いはもっているものの、なにがなんでも高い成果を出すために貪欲に取り組むよりも、比較的まったりした雰囲気です。

④比較的転職率が低く、勤続年数が長い

老舗企業は年功序列制が色濃く残っています。仕事のやり方が確立されているため一定の成果を出しやすい環境ではありますが、年功序列制は成果を出す/出さないにかかわらず勤続年数や年齢に応じて給与やキャリアが上がります。そのため不満に感じることがあっても「将来出世できるから我慢しよう」と考え、多くの社員は転職せずに会社にとどまります。勤続年数が長くなるにつれて、会社への帰属意識が高まり、同じ仲間と仕事をし続けるため社員同士の連帯感も高まり、高い定着率につながります。

 

<デメリット>

①トップダウンで個人の意見が通りにくい

創業者の家族・親族が会社の経営を行う同族経営の形態になっている企業が多く、大きな権力をもつ社長がワンマンな場合、個人の意見が通りにくい環境といえます。せっかく会議で決まった事であっても、社長の一声で変わることだってあります。社長の顔色をうかがい、個人の意見を言うことすらしないことも多いです。

②リスクを避けチャレンジしない

大きなミスさえしなければ着実にキャリアアップできるため、どんどんチャレンジしていくような雰囲気ではありません。新しいことにチャレンジすることよりも昔からの慣習や文化を重要視する老舗企業では、チャレンジ精神豊富で(失敗もあるけれども)成果を出している人よりも、ミスなく上司に従順な人の方が出世できる可能性は高いです。新しいことにチャレンジしたいという気持ちと失敗したときの対応や評価が下がることによる今後のキャリアを天秤にかけ、リスクを避けて怒られないように動きます。

③社会の流れについていけていない部分がある

老舗企業には今まで培ってきた多くの成功体験やノウハウがあります。そのためマニュアルがしっかりしており、どんな社員でも一定の成果を出すことができるようにシステム化されています。成功体験を多く積んだことで、それが正しいと強く思うようになり、新しいものを取り入れようとしません。決裁者や意思決定の権限をもつ上層部の人たちは、自分たちが行ってきたこと・積み上げてきたものが正解であり、変えるつもりはないという考えになります。日々テクノロジーは進化していますが、「新しいもの=リスク(=失敗要素)」ととらえ、最先端のツールやテクノロジーを学ぼうとせず、自社の考え方やツールが時代遅れになっていることに気づくことができません。

④教育体制が整っていないことがある

平均の勤続年数が高い(入社してから辞める人が少ない)という特徴があるため、平均年齢が高く、若返りに課題を感じている企業も少なくありません。辞める人が少なく業績も安定しているため、新しく入社する人は少ないです。仕事のやり方は確立できていても、新入社員の教育や研修をそれほど経験しているわけではないため、体制が整っていない部分があります。また、仕事に対する考え方(ワークライフバランスなど)が変わってきているにもかかわらず、昔の考え方(根性論や長時間労働が当たり前など)を押し付けられる可能性もあります。

 

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老舗企業をおすすめしたい人の特徴

上記で説明したように、老舗企業にはさまざまな特徴があります。
老舗企業のメリットに合うような下記の特徴をもつ人にはおすすめです。

  • じっくりと腰を落ち着かせて働きたい人
  • すでにあるルールや規定に沿って働きたい人
  • 自己主張がそこまで強くない人
  • アットホームな雰囲気の会社で働きたい人
  • 上下関係を重んじる人

 

まとめ

昔から今まで長い間ビジネスを続けてきた老舗企業には、「安定した経営基盤」「確立した仕事のやり方」「落ち着いた雰囲気」「転職率が低く勤続年数が長い」といったメリットがある反面、「トップダウン」「チャレンジする風土がない」「社会に乗り遅れる」「教育体制が整っていない」といったデメリットが存在しています。成果主義の企業と老舗企業のどちらが優れている/劣っているというわけではなく、それぞれの特徴をしっかりと把握し、どちらの方が自分の性格や志向性に合っているかを考えた方がよいでしょう。