近年、インターネットやアプリ、システム、人工知能などのITサービスによって、私たちの暮らしは豊かになりつつあります。そんなITサービスを販売・提供する仕事がIT営業です。ITに興味がある方であれば、転職の候補として興味があるのではないでしょうか。今回はIT営業の仕事内容や転職事情について解説していきます。
■IT営業とは?
そもそも営業とは、利益を得るために事業を行うことを意味し、具体的には販売活動をさします。
その一方でIT職と聞けば、プログラミングやシステムを構築する光景が思い浮かび、販売活動と関連性が薄いと感じるかもしれません。しかし、アプリやシステムを制作しても、活用してくれる人がいなければ利益につながりません。
つまり、アプリやシステムを購入して利用してくれる人を探す必要があります。その役目を果たす仕事がIT営業です。IT営業は、IT関連の製品やサービスを販売・提供する仕事です。
IT営業の仕事では、プログラマーやシステムエンジニアと違って、アプリやシステムを作るわけではありません。ただ、小規模なIT企業ではプログラマーやシステムエンジニアがIT営業の仕事を兼務することもあります。
アプリやシステムを構築するメンバーが打ち合わせに在籍し、機能追加を提案する光景も少なくありません。いずれにせよ、IT営業は顧客とエンジニアをつなぐ仕事であり、アプリやシステムに関する専門的な知識も求められるのは言うまでもありません。
■IT営業の主な仕事内容
IT営業の仕事を大まかに分けると、サービスの提案と開発メンバーとの打ち合わせになります。それぞれの仕事を確認してみましょう。
・仕事内容1.顧客にサービスを提案
顧客に自社が取り扱っているITサービスを提案します。既存顧客に新たなサービスを提案するケースもあれば、WEBサイトやDMなどの宣伝媒体でサービスを知った方から問い合わせに応じることもあります。
通常の営業では商品のように目に見える現物を取り扱うことがあります。しかしIT営業では、アプリやシステムなど視覚的に把握しづらいサービスを取り扱うのが特徴です。
したがって、自社で取り扱うサービスが顧客にどのようなメリットがあるのかわかりやすく伝えなければなりません。
そのため、営業先にデータの入ったハードディスクを持って行き、打合せの現場でアプリやシステムをスクリーンで動作させることもあります。
このように工夫をしながら、顧客の抱える課題に対して、自社が実現できる機能を的確に提案することが大切です。
・仕事内容2.開発メンバーと業務を共有
IT営業が顧客から仕事を受注できた場合、開発メンバーと業務内容を共有します。なお、顧客のシステムを改良していくケースでは、顧客からハードディスクなどの媒体を介して、基盤となるデータを受領し、開発者に引き渡します。
一定規模のシステムは1人でプログラミングを行って作成するのではなく、複数人で作成したソースファイルを組み合わせて実現するのが一般的です。
誰がどの機能を担当するのかを明確にし、定められた納期に納品できるようにスケジュールを調整していきます。
開発が進んでいく過程で途中経過の進捗を報告することも少なくありません。また、顧客と打ち合わせする中で変更点や新たな機能追加が生じれば、その都度開発メンバーと共有してプロジェクトを進めていきます。
このように、営業職といえども関係者の進捗状況を管理して顧客に報告する場面も見受けられるため、IT営業ではマネジメントスキルも求められるといえるでしょう。
■IT営業のスケジュール
IT営業の仕事をさらに理解したいのであれば、具体的なスケジュールを知るのがおすすめです。ここからはIT営業のスケジュールを表にまとめていきます。
時刻 |
仕事 | 具体的な内容 |
8:30 | メール確認 | 顧客の依頼を確認したのち1日の予定を確定します。 |
8:45 | 社内ミーティング | 当日のスケジュールをメンバーで共有します。 |
9:00 | 書類作成 | 顧客の依頼から見積もりを作成し、アプローチの仕方を検討します。 |
10:30 | 問い合わせ対応 | 顧客からアプリやシステムの開発に関する問い合わせに対応します。必要に応じてエンジニアに回答してもらいます。 |
12:00 | 昼食 | 社内で食事をするだけでなく、外食をすることもあります。 |
13:00 | 顧客と打合せ | 顧客から課題をヒアリングし、アプリやシステムについて提案をします。 |
16:00 | 社内ミーティング | 顧客から受注した仕事内容を開発メンバーと共有します。今後の開発スケジュールを練り、顧客からの要望に対する回答事項もまとめます。 |
16:30 | 顧客に連絡 | 翌日に行われる顧客との打合せに向けて、必要な見積書やデータなどを整理します。 |
18:00 | 退社 | 翌日に行われる顧客との打合せに向けて、必要な見積書やデータなどを整理します。 |
■IT営業の転職事情
IT技術は常に進歩しています。今まで使われていたプログラミング言語がいつのまにか廃れてしまい、人気がなくなるケースは珍しくありません。
また、大きな技術革新によって、新たに理解しなければならない知識も増えていきます。たとえば、最近ではAI技術がよい例でしょう。農業の分野では、農作物の生育状況を画像から診断する画期的なサービスも見受けられます。
このような事例を踏まえると、今まで解決できなかった課題を解決するために、最新のIT知識を求める顧客も今後増えてくるとわかるでしょう。その点で、IT営業の仕事では日頃から最新の専門知識を蓄える姿勢が求められます。
ただ、専門知識が要求されるのであれば、IT営業は難しい仕事で転職が難しいと感じてしまうかもしれません。
しかし、IT営業の仕事は未経験でも募集を行っていることもあります。具体的には、研修で業界知識を習得させ、独り立ちできるまで営業力を育んでくれる会社も存在しています。
性格や意欲を重視する企業もあるので、諦めずに求職活動を行っていけば、IT営業の職種に就ける可能性はゼロではありません。
■まとめ
以上、IT営業の仕事内容やスケジュール、転職事情を解説しました。IT営業は、ITに関する専門的な知識が問われるほか、顧客とエンジニアの間を仲介するためのマネジメントスキルが求められる仕事であると、おわかりいただけたでしょう。
通常の営業職と同様に見積もりや問い合わせ対応などの業務があるほか、未経験でも研修を前提として前向きに採用活動を行っている企業もありました。
ITの分野に興味がある方は、ぜひ転職の候補として検討してみてはいかがでしょう。