同業他社への転職を考えている人は、問題ないのか?注意すべき点はあるのか?と気になるところかと思います。競合避止義務で制限されることはありますが、基本的に転職先や仕事を制限する法律はありません。同業界での経験があることにより有利に進めることができることもあれば、同業界だからこそ気をつけないといけないことも多くあります。注意すべきポイントを徹底解説します。

 

■同業他社への転職ってOKなの?

結論から言うと、同業他社への転職は問題ありません。日本国憲法の職業選択の自由により、公共の福祉に反しない限り日本国民全員が好きな職業に就くことができることが保障されています。国民全員ですので、一般社員であろうと、取締役であろうと、同様に自由に選択することが可能です。

 

■同業他社へ転職する際の注意点

日本国憲法で保障されている(同業他社への転職を禁止する法律はない)とはいえ、いくつか注意しなければいけない点がありますので説明します。

注意点

①競合避止義務

競合避止義務とは、所属する会社と競合(ライバル)する会社や組織に就職したり、副業・兼業したり、設立したりするなどの行為を行ってはいけないという義務のことです。自社のノウハウや知識・技術・人脈などの流出を防ぐために義務付けている企業は少なくありません。会社の就業規則や入社時などに書いた誓約書に記載されていることが多いです。

競合避止義務について気になるところは、法的拘束力があるのか、損害賠償請求をされることがあるのか、ではないでしょうか。日本国憲法の職業選択の自由と矛盾するように思えるかもしれませんが、裁判になった場合、競業避止義務が有効かどうかはあらゆる観点から検証されます。多くの場合は、禁止する期間や地域が制限されています。また、一般社員と取締役では持ちうる人脈やノウハウのレベルが異なるため、役職や職種の範囲でも禁止される度合いが異なります。実際に損害賠償を請求された事例がありますので、注意が必要です。まずは自分の会社の就業規則や、入社時に書いた誓約書などに競業避止義務が記載されているかどうかを確認してみましょう。

 

②採用ハードルが高くなる場合がある

即戦力を求めている中途採用において、同業への転職は最もスキルや経験を活かすことができるため、内定が出る可能性が高いというメリットがあります。しかし、営業などの成果がわかりやすい職種の場合は注意が必要です。同業界で成果が出ていない場合は、転職しても同業界では成果が出しにくいと判断されてしまう可能性があるからです。成果を出せている人は、他の業界の人よりも内定の可能性が高いですが、逆に成果を出せていない人は採用ハードルが高くなり、不採用になりやすいです。成果を十分に出せていない場合は、納得できる理由と今後の取り組み内容を用意しておく必要があります。

 

③退職理由は慎重に

企業側としては、同業界だからこそ転職理由をより気にします。会社により違いがあるとはいえ、経験年数が少ないと同じようにすぐに辞めてしまうのではないかと懸念を抱かれてしまいます。今回の転職理由が特別であり、同業他社ではそうならないことをしっかりとアピールしましょう。

ネガティブな理由は避け、基本的にポジティブな理由をお伝えしましょう。

<ネガティブ例>

・仕事が面白くないから →同業界への転職では矛盾があります。

・人間関係が良くない →トラブルメーカーだと思われる可能性があります。

・年収や福利厚生を改善したい →少しくらいは問題ありませんが、条件改善が1番の理由だと思われた場合は、より条件の良い会社があればそちらに転職すると思われてしまうため、マイナスイメージにつながることがあります。

<ポジティブ例>

・前職でできなかった仕事をしたい →なぜ前職ではその仕事ができなかったのか、その仕事をしたい理由を明確にお伝えください。

・スキルアップをしたい →現在のスキルと求めているスキルの詳細や5年後10年後にどうなっていたいかを伝えられると、より好印象になります。

 

④共通点や違いを把握する

同業他社だからといって同じ仕事のやり方をしているとは限りません。共通点や違いをしっかり把握することで、入社後のギャップを減らすことができます。また、活かせるスキルや経験だと思っていても、仕事のやり方が大きく異なることにより、全く活かすことができない可能性もあるため適切に把握しましょう。

 

■退職にも注意

転職先の企業を決めることももちろん大事ですが、人によっては裏切り行為だと思われることもあるため、円満に退職することも重要になります。

①転職先が同業他社であることは控える方が無難

退職交渉を進めると、次どこの会社にいくのかと聞かれると思いますが、同業他社へ転職することは隠す方が無難です。言っても問題はありませんが、受け取られ方によっては退職するまで気まずい状況が続くこともあります。隠すことに気が引ける人もいるかと思いますが、お互い変な感じにならないためには伝えるのを控えた方が良いでしょう。

 

②転職後に前職の人に会う可能性があるため円満退社を心がける

同業界への転職の特徴ですが、営業先やセミナーなど前職の人に会う可能性があります。退職時に揉めてしまうと、とても肩身の狭い思いをすることになります。また、転職先の同僚からも前職でトラブルを起こした人と認知されるため、余計に辛い思いをすることになります。難しいこともありますが、退職時はしっかりと話し合い、お互い納得できる形で次の道に進むようにしましょう。

 

■まとめ

競合避止義務などのルールがある場合もありますが、基本的に同業他社への転職は問題ありません。同業界での経験を持っているからといって、簡単に自分の求める転職先から内定をもらうことはできません。同業界だからこそ、より成果を重視され、転職理由を気にされます。入社後のミスマッチにならないためにも、事前に共通点と違う点をしっかり把握しておくことも大事です。また、他業界への転職よりも退職には十分に注意してください。どうしてもという状況以外では、同業界への転職である旨は伝えずに、できる限り円満に退職できるように努めてください。