面接で良く聞かれる「あなたの長所と短所は?」という質問に対してどのように答えると良いでしょうか。1つ2つを端的に適切に伝えることが重要です。客観的に自分を見れているのか、雰囲気がマッチするのかという企業側の視点を理解し、具体的なエピソードを元に、活躍できることをしっかりとアピールしましょう。
■面接官が長所と短所を聞きたがる理由
面接内で長所と短所を聞かれた時の答え方をお伝えする前に、なんで面接官は長所と短所を聞きたがるのかについて説明します。企業側の聞きたいと思う理由や背景を理解し、適切に答えられるようにしましょう。
①客観的に自己分析ができているのか
客観的に自分を見ることができる人は、自ら長所を伸ばし、短所を改善することができるのに対して、客観的に自分を見ることができない人は、人に言われない限りなかなか成長や改善ができません。人によっては、自分はこうだから!と思い込みが強く、人に言われても認識することができません。企業側としては、自身の長所と短所を適切に認識し、自分で考えながら主体的に成長してくれる人を求めています。
②会社の雰囲気にマッチしているのか/活躍できるイメージをもてるか
中途採用の選考は2回面接のところが一般的であり、企業側としてはその2回の面接(約2時間)で転職希望者の人柄や性格・志向性など、あらゆることを認識・理解しなければなりません。十分に理解することができず、入社後すぐにミスマッチにより退職されてしまう場合、コストも工数も無駄になってしまうため、企業としては避けなければなりません。当然ですが、たったの2時間程度でその人をしっかり理解することは簡単ではありません。そのため、転職希望者がどういう人であるのかを企業側がより知るために、長所と短所を聞いています。
■長所・短所を聞かれた時のコツ~伝え方と内容~
①「結論→具体的なエピソード→活かし方」の順番で伝える
企業側が気にすることは、「中長期的に活躍してくれる人材なのか」です。伝え方1つで多くの点を判断することができます。まずは必ず「結論」から話すようにしてください。ビジネスにおいて「結論から伝える」といろんなところで耳にするかと思いますが、面接の場でも同様です。どのような話をしようと思っているのかを、結論から話すことでしっかりと伝えましょう。続いて、「具体的なエピソード」です。長所と短所がなんなのかを伝えるだけでは、本当にそうなの?と疑問を持ちます。より具体的なエピソードを話すことで説得力をもたせ、より納得してもらうことができます。最後に、仮に入社した場合の活かし方を伝えてください。自分は中長期的に活躍することができる人材であるということを、企業側に判断してもらうために、活かし方をアピールすると良いでしょう。
②内容は1つか2つまで
自分を良く見せたい・もっと知ってほしいと、多くをアピールしたくなることもあるかと思いますが、長所と短所はそれぞれ1つずつ(多くても2つまで)にした方が良いです。あれもこれもとアピールするよりも、1つを掘り下げて詳細に伝えた方がわかりやすく、採用担当者の印象は良いです。
③企業が求める人物像に関連付ける
会社の雰囲気にマッチするのか、活躍してもらえるのかという観点が重要になるため、企業が求める人物像に近いことはとてもプラスになります。嘘をついて企業の求める人物像に寄せる必要はありませんが、いくつかの長所がある場合は、求める人物像が自分であることをしっかりアピールできるものを用意しましょう。
④長所につなげられるような短所を選ぶ
短所は受け取り方を変えれば長所にもなります。例えば、「自分一人で抱えすぎてしまう」という短所がある場合は、見方を変えれば「責任感が強い」という長所にもなります。「計画性がない」という短所の場合でも、「頭より先に体動く・行動力がある」という長所としての見方もできます。短所をネガティブにそのまま伝えるのではなく、長所につなげるように伝えると良いでしょう。
⑤短所の克服のためのエピソードや取り組みも話す
人は誰しも短所をもっています。自身の短所をどのように受け止めているかで、人間性や優秀な人かどうかを判断しているため、短所を克服するための具体的なエピソードや取り組みを伝えると良いでしょう。完全には克服できていなくても、改善されつつあるような状況であるならば、以前より克服されている点も伝えると効果的です。
⑥過去の成功体験や失敗体験の棚卸を行う
なかなか自身の長所や短所がなんなのかがわからない人は、過去1年以内の成功体験や失敗体験から導くことをオススメします。成功体験・失敗体験がどのような出来事だったのか、それは何で起こったのか、その時の感情や行動はどういうものだったのかを書き出してみることで、長所と短所の参考になると思います。短所ばかり認識しているという人は、とにかく短所をできる限り多く洗い出し、それぞれの捉え方を変えてみましょう。短所は見方を変えれば長所にもあるため、きっと多くの長所を発見することができるはずです。
■長所と短所のNG例
<内容>
①仕事に活かすことができないこと
入社後に活躍できるかどうかの観点で見られているため、仕事に活かすことができない内容は控えましょう。長所と短所が発揮されるエピソードであったとしても、趣味(料理、ゲーム、車の運転など)に関するエピソードではなく、できる限り仕事上の具体例を伝える方が良いでしょう。
②企業側が求める人材と異なるようなもの
企業が求める人物像を把握することは、内定率アップにつながるため重要になります。例えば営業職の場合、企業側は「新規開拓からの売上拡大をミッションにしているため、行動力のある人」を求めているのに対して、「しっかりと思考した上で行動するタイプ、ルート営業のように中長期的に関係を築いていく方が得意」と伝えてしまうと、ミスマッチであると判断されてしまう可能性が高いです。できる限り求める人物像と近い内容を伝えましょう。
③昔すぎるエピソード
必ず具体的なエピソードを盛り込む必要がありますが、昔すぎるエピソードは控えましょう。短所に関する具体的なエピソードが昔すぎる場合、克服できない人と認識される可能性があります。できれば1年以内に起こったエピソードが良いですが、古くても2年以内が良いでしょう。
<伝え方>
①長所にもかかわらず自信がなさそう
せっかく企業の求める人物像にマッチしており、説得力のある分かりやすい説明をしたとしても、下を向いていたり、声が小さいなどの話し方の場合、自信がないのでは?とマイナスイメージにつながる可能性があります。周りの人にお願いしたり、鏡を見たり、録音したりなど、自信をもって話せているかをチェックしてみると良いでしょう。
②主語が自分ばかり
自分には○○な力があります」「自分では○○が得意だと考えています」など、主語が自分ばかりにならないように注意が必要です。主語が自分ばかりになってしまうと、自信過剰や独りよがりではないかと懸念に思われる可能性があります。お客様や上司など他の人から言われた・褒められたことや、具体的な成果を合わせて伝えると良いでしょう。特に営業職の場合は成果を重視されることが多いため、「目標数値に対して〇%達成」「対前年比売上〇%アップを達成」など具体的な数字で表すことができる成果を伝えることで好印象をもってもらえます。
③ダラダラと時間軸に沿って話す
長所・短所だけではなく、どのようなことを話すときも、ダラダラ話すことは禁物です。時間軸に沿って起こったことをダラダラ話すことで、聞き手のことを考えられるだけのコミュニケーション力が欠如している・話をまとめるだけの思考力が足りない人であると思われてしまうリスクがあります。
■まとめ
長所と短所は?というたった1つの質問から、企業側はあらゆる視点から多くの情報を得ようとします。目の前にいる転職希望者が優秀なのか、採用したら活躍してくれるのか、現在の社員とうまくやっていけるのかなど、多くの点を気にします。そのため、簡単に答えるのはとてもリスクがあります。
・長所につなげられる短所になっているのか
・企業が求める人物像に近い内容なのか
・1つか多くても2つになっているか
・具体的なエピソードや成果もあるのか
・仕事に活かすことができるか
・最近のエピソードであるか
・結論→エピソード→活かし方の順番で説明できるか
・自信をもって伝えることができるのか
・端的に適切な情報を伝えることができるか
上記のポイントを意識し、しっかりと練習をして面接に臨むことをオススメします。必要に応じて、家族や知人などの周りの人にも協力いただいて、チェックとアドバイスをもらうと良いでしょう。