「転職について最近考えるようになったけれど、妻(もしくは夫)にはどう相談したらいいのかな…」共働き中の夫婦のどちらかが転職について考えるとき、独身の方やパートナーが専業主婦(主夫)の方よりも気を付けるべき「転職を考えるときのポイント」があります。「転職自体は成功したと思うけれど、転職活動をきっかけに夫婦関係がこじれてしまった…」という結末を避けるために最低限必要なポイントをご紹介します。

 

■転職について切り出すタイミング

「来月から転職することになったから!!」

よほど好条件の転職先でない限り、もっとも「最悪」と言っていい切り出し方は、「事前に相談一切なしの事後報告」スタイルです。

・心配をかけたくないから、転職先が決まってから報告しよう

・もしも反対されても、自分は自分のやりたいことを追求したいから、相談する意味はない

・夫婦別財布。もしも数ヶ月無職になっても、今までの貯金で生活費は折半できるから気にする意味を感じない

・専門や業界が違うので、相談してもいい影響はないと思う

・共働きだから、自分がしばらく無職になっても大丈夫

こんな理由で、転職についての相談をパートナーにまったくしない方がいらっしゃいます。

一見、パートナーに対して「親切」な理由だったり、自立的な理由だったりするため、「事後報告」について「いい結果を生まないかもしれない」という想像すらしていなかった、という方も少なくありません。

しかし、特に転職を考えているのが旦那様、共働きをしているパートナーが奥様の場合、「一切相談しない」ということ自体に不安を感じてしまうケースがたくさんあります。

転職を検討し、実際に転職するまでのステップのなかで、いつどのように相談しておけば、パートナーが安心して転職を応援してくれるか、パートナーの性格を考えながらタイミングを考えておきましょう。

 

転職を検討するかどうか悩んでいる段階

もっとも早いタイミングで転職について相談するパターンです。

「事後報告がNGなら、とにかく早いタイミングで相談した方がいいの?」とお考えの方、必ずしもベストな選択とはならないかもしれません。

 

・今すぐに転職したいというわけではない

・自分でもどうしたらいいのかよくわからない

・そのときによって、転職したくなったりしたくなくなったりする

 

こんな状況であれば、パートナーに相談することでかえって混乱してしまった…というケースもありえます。

「悩んでいるからこそ打ち明けたい」というご自身の希望があれば、ぜひパートナーに打ち明けていただきたいのですが、そうではない場合、この段階ではご本人がじっくりと考えをまとめたり、利害関係がない第三者に相談して課題を整理してみましょう。

 

転職したいという意思は固まったが、具体的な行動には移っていない段階

これまで、転職に関してさまざまなご相談をうけるなかで、夫婦間でトラブルなく転職を成功させた方がパートナーに相談したタイミングでいちばん多かったのがこちらです。

「転職したい」という意思をしっかりと示すことができ、かつ夫婦や家族間での「働き方」「収入」などの大きな問題を事前に相談することができるバランスの取れた段階です。

このとき、「転職をしたい理由」について、

「なんとなく」

「今の会社に飽きた」

など、「言葉足らず」な説明にならないように注意しましょう。

 

例:「最近、社内で事業がいくつか統廃合されるという話が出ている。業界的に、先細り感も感じていて定年まで今の会社で今の給与を維持することが難しいと思う。まだ転職できる可能性が高くて、将来に期待が持てる会社に転職をしたいと考えている。転職活動をするとなると、負担をかけることもあると思うから、相談したい。自分としては、今年中に転職先を見つけてから、今の会社に退職届をだそうと考えていて、賛成してもらえるなら、来月くらいから具体的に応募をはじめたいと考えている。」

 

少なくとも、

・なぜ転職を考えたか

・転職をした方が家族と自分にとって良いと思った理由

・転職活動をする場合の方法やスケジュール感の希望

これらについては伝えられるようにあらかじめ考えをまとめておきましょう。

そのうえで、「すべてを決定しているわけではなく、あくまで現時点での希望で、最終的に夫婦で相談して決めたい」とい点をしっかり伝えましょう!

 

実際に転職活動を開始し、応募する会社をピックアップし始めた段階

これまでの経験を活かした転職活動や、給与アップや福利厚生の良い会社への転職は、比較的家族の理解が得られやすいのですが、

「全く新しい仕事にチャレンジしたい」

「休みは少なくなるが、昔からあこがれていた会社の求人があった」

という理由での転職は反対される可能性が高くなってしまいます。

とはいえ「自分のキャリア」ややりたいことを考えたときに、一時の給与や休暇などの条件ではないポイントで転職を決めることは長い目で見て「必ずしもマイナスになる」わけではありません。

このように、「条件的には下がってしまう可能性が高い」という転職を望んでいる場合は、ある程度「具体的に家族に影響がある点」を伝えられるように、転職先の候補をいくつか紹介しながら相談した方が、パートナーも賛成するか反対するか、検討がしやすいというケースがあります。

パートナーと家族を大切にするためにも、長く取り組める仕事、やりがいがある仕事にチャレンジしたいという気持ちを表現するように意識して相談しましょう。

 

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■給与・勤務地・拘束時間は家族の生活に大きく関わる重大事項

「お給料が安くても、仕事にやりがいを感じていることが一番大事」

「職場の人間関係に不満があるなら、リセットするのも前向きなこと」

友人になら本心からできるアドバイスも、残念ながら夫婦間ではためらってしまう…という方は少なくありません。

夫婦が完全に別会計で同額の生活費を支出し、家事育児の負担も大きくかわらない…というパターンのご夫婦ならばともかく、多くのご家庭ではパートナーの収入や勤務地、仕事で拘束される時間は家族全員の生活に大きな影響を及ぼします。

この点に不安や不満を抱えたままパートナーが無理やり「転職強行突破」をしてしまうと、転職後までさまざまなトラブルを生じがちです。

実際、「転職活動中は何も言わなかったのに、内定が出たとたん猛反対してきた。なんと内定先に『妻ですが辞退します』と連絡されてしまい、せっかくの内定もふいに。結局夫婦関係にも亀裂が入ったままです」というご相談は決してめずらしくありません。(業界用語で、「嫁ブロック」という言葉があるくらいです。)

特に生活の変化に大きくかかわりのある

・給与

・勤務地

・勤務時間

に関しては、きちんと確認し、パートナーに早いうちから情報開示するように意識してください。「転職したら忙しくなるから、家事や子育ては相手に任せよう…」などと、勝手に判断しないようにすることも大切です!

 

■共働きをしているからこそ叶えられることもある

ここまでご紹介した「転職を考えるときに、パートナーに対して気遣うべきポイント」は、パートナーが共働きでない場合でも、夫婦関係や転職活動がスムーズになる可能性を高くします。

さらに、「共働きだからこそ」一時的な給与減や、働き方の変化に対応できる「選択肢」が広げられること、その可能性に感謝する気持ちを夫婦がお互いに持てるような転職を目指しましょう!