転職活動と同じくらい退職交渉がしんどかったと言う人もいるくらい、大変な場合があります。「どうせ辞める会社だから」と思うこともありますが、どこでつながるかわからないですし、気持ちよく送り出してもらうためにも、退職交渉のスケジュールをしっかりと認識し、慎重に進めていきましょう。

 

■そもそも退職届とは?退職願との違いは?絶対に出さないといけないもの?

退職届とは、退職することが確定し、会社に対して退職することを届け出るための書類のことを指します。退職届のフォーマットが会社によって決められていたり、会社によっては退職届の提出先も異なります。

退職届と同じように思えるものに退職願があります。退職届とは異なり、退職したい旨を伝えるための書類になります。退職願は口頭でもよく、必ずしも提出する必要はありません。

 

■退職交渉のスケジュール

退職交渉を始めるタイミングは、退職してから転職活動を行うか、仕事しながら転職活動を行うのかで異なります。退職してから転職活動を行う場合は、転職することを決意したタイミングで退職交渉を始める方が良いですし、仕事をしながら転職活動を行う場合は、内定を受諾したタイミングで退職交渉を始めると良いです。

退職することを決めてから、退職するまでにやるべきことがたくさんあり、具体的に行わないといけないものは下記になります。

 

①直属の上司に退職する旨を伝える

まずは直属の上司に退職することを伝えるところから退職交渉は始まります。自分自身や上司が異動したばかりで、ほとんど面識がないような感じであれば、前の上司など別の人に伝えてもいいですが、そうでない場合は直属の上司にまず伝えましょう。直属の上司を超えて、いきなりその上の上司に伝えることで、直属の上司から怒られたり、フォローしてもらえない関係になってしまうこともあります。直属の上司にできる限り納得いただいて、フォローしてもらえる関係になるとその後の交渉が進めやすくなります。

 

②その上の上司に退職する旨を伝える

直属の上司への退職交渉が完了すると、その上の上司に退職の旨を伝えることになります。面談の場を設定されることも少なくありません。

 

③退職日の相談・決定

直属の上司・その上の上司に退職することを伝え、OKをもらえた場合、正式な退職日を決定するために相談していきます。企業側の希望と本人側の希望を元に、相談を進めることになりますが、「後任の人を異動させるから〇〇まで待ってほしい」「現在のプロジェクトが終わるまで続けてほしい」など、企業側にもさまざまな状況や要望があるため、希望通りの日程で退職できないことも多いです。

 

④退職届の提出

退職する日が正式に決まりましたら、退職届を提出します。企業指定のフォーマットなどがある場合もありますので、どのような形で退職届を提出したらいいのかを確認すると良いでしょう。

 

⑤退職手続き

企業指定の退職手続きを進めていくことになります。企業により手続き内容は異なりますので、管理部門から来る内容に沿って進めていけば問題ありません。稀に、何の連絡も来ないことがありますが、おかしいなと思ったときは一度確認してみると良いでしょう。

 

⑥仕事の引継ぎ

退職交渉の中でとても大事な仕事が引継ぎを行うことです。ちゃんと引継ぎを行わないことで、社内だけではなく、顧客にも迷惑をかけることにつながってしまいます。会社により引継ぎの方法や量は異なりますが、自分がもっている情報は全て引き継ぐくらいの認識をもって進めていくと良いでしょう。

 

⑦顧客や社内へのあいさつ

引継ぎを行うと同時に、お世話になった顧客にあいさつをしていきます。最終出社日(場合によってはそれまで)に社内の関係者にあいさつを行い、退職になります。

 

■円満退職のコツ3選

世間は狭いと言いますが、いつどこで関わるかわかりません。誰しもができることなら円満に退職したいと考えると思いますので、できる限り円満に退職するためのコツを3つ紹介します。

<円満退職のコツ①:退職する旨を伝えるタイミング>

いつ退職することを伝えればいいのか?と悩む人もいますが、会社としても直前に言われてしまうと対応ができないこともありますので、余裕をもって伝える方が良いでしょう。民法では14日前と定められていますが、ほとんどの会社では社内規定で1ヶ月前までに退職する旨を伝えなければならないと決められています。円満退職するためにも、余裕をもって2ヵ月前に伝えることをオススメします。

会社からすると、どのタイミングであっても退職されてしまうことは避けたいですが、繁忙期やプロジェクトが進捗している状況は特に避けたいものです。退職日を先延ばしにされるなど、円満に退職交渉が進まない可能性がありますので、できる限り忙しい時期や大変なタイミングは避ける方がベターです。

 

<円満退職のコツ②:退職理由を伝えすぎない>

退職理由を伝える際に「それなら仕方ない」と思ってもらえるかが重要になります。現状の不満を言うと、「環境変えるから」と提案され、退職することをなかなかみとめてもらえないことも少なくありません。業界や業務内容など、現職では叶えることができない、できる限りポジティブな理由を伝えると良いでしょう。

また、転職先を明かさないことも大切です。同業他社の場合は絶対に伝えない方が良いですが、他業界の会社への転職であったとしても、揉める原因になる可能性もありますので、極力転職先については伝えない方が無難です。

 

<円満退職のコツ③:直属の上司を味方につける>

退職交渉が上手く進まないパターンはいろいろとありますが、多くの場合は上司からの反対や引き止めによるものです。円満に退職するためには、直属の上司をいかに味方になってもらえるかがとても重要です。トップの上司に納得してもらうために一人で説得していくよりも、直属の上司にフォローしてもらえる方がはるかに楽に交渉が進みます。

 

■退職に向けて気を付けておくこと

<気を付けておくこと①:相手の立場になって考える>

辞める会社なんてどうでもいい・・・とつい雑な対応をしてしまうときがあるかもしれませんが、円満退職できる方が良いに決まっていますので、相手の立場になって考え、行動することを心がけましょう。

 

<気を付けておくこと②:就業規則を確認する>

しっかりと事前に就業規則を確認しておいた方が良いでしょう。「退職するときは2ヵ月前までに言わなければならない」など、会社によって規則が異なるため、転職を考え始めた段階で、まず確認してみると良いでしょう。

 

<気を付けておくこと③:有給休暇の消化>

有給休暇を消化しきって退職したい場合、いろいろと注意が必要です。有給休暇を使い切るタイミングが最終出社日の前・後に関わらず、引継ぎや退職日から逆算するなどのスケジュールをしっかりと計画するが大切です。他にも会社独自のルールが存在しないかどうか、規則を確認したり、周りの人に聞いてみると良いでしょう。

会社によっては有給休暇を取得できないところがあります。「最後の最後まで働いてほしい」「これまで有給休暇を使った人はいない」「うちは有休をとらない慣習だ」などを理由に、有休を認めない会社がありますが、その場合はまずは人事などの管理部門に言いましょう。有休は誰でも取得できる権利をもっており、会社が止めることは法律上できません。管理部門は有休を認めないことが違法であると知っているため、取得できるよう働きかけをしてもらえる可能性があります。それでも難しい場合は、労働基準監督署に相談しましょう。上司に相談するときも、管理部門に相談するときも必ずエビデンス(メールなど)を残すようにしましょう。有休消化分の給与が支払われない場合もありますので、会社に請求し、それでももらえない場合は同じく労働基準監督署に相談しましょう。

 

■まとめ

自分のことしか考えない場合、円満退職をすることは難しいため、相手がどう受け止めるかを考えることがとても大切です。退職したら終わりというわけではなく、いつどこで接点があるかわからないですし、できるなら気持ちよく退職したいと考えると思いますので、退職交渉のスケジュールをしっかりと理解し、円満退職のコツ3つ(退職する旨を伝えるタイミング・退職理由を伝えすぎない・直属の上司を味方につける)を意識し、スケジュールと気持ちに余裕をもって、丁寧に進めていってください。