退職金は法律で明確に決められているわけではなく、会社によって独自のルールを設定することができます。全体の約7割の会社が退職金制度を導入していますが、会社によって支給額の計算方法はバラバラであり、同じ計算方法であっても会社の規模や勤続年数によって、退職金は大きく異なります。

仮に今の会社を退職するとしたときに、いくらくらいの退職金がもらえるかをご存じでしょうか。退職金ってなに?誰でももらえるの?どうやって計算されるの?などの疑問を解消できるように説明していきたいと思います。​

 

■そもそも退職金って?​

退職金とは、退職する際に勤めていた会社からもらえる賃金・手当のことをいいます。法律で定められているわけではないため、必ず支給しなければならないというものではなく、会社により支給する・しないは自由​に決めることができます。厚生労働省が平成25年に発表した「就労条件総合調査結果の概要」によると、退職金制度がある企業は全体の75%になります。従業員が1000人以上の企業のうち、93%の企業は​退職金制度を導入しているのに対して、3099人の企業では72%が導入しています。おそらくイメージ通りであると思いますが、大企業よりも中小企業の方が退職金制度を採用している会社が少ないです。​

■退職金と確定拠出年金の違い​

以前は終身雇用制が基本であり、転職することなく定年まで同じ会社で働き続けるという風潮があったため、会社側では「今まで頑張って働き続けてくれてことに対する感謝」や「老後の生活を支える」などの意味で、​ほとんどの企業が退職金制度を導入していましたが、近年ではその流れや考えが薄まってきており、転職が当たり前になりつつあります。そのため退職金制度を採用する企業がどんどん減っていき、代わりに出てきたのが​確定拠出年金という制度になります。退職金制度と確定拠出年金の主な違いを3つご説明します。​

<違い①:誰のお金で積み立てる?>​

退職金と確定拠出年金の違いの1つ目は、誰のお金で積み立てるのかです。退職金は会社が全て負担してくれますが、確定拠出年金は毎月の給料の一部など、個人(または企業が)が資産形成してい​かなければなりません。​

<違い②:倒産時など>​

会社が倒産した場合は、積み立てたものはどうなるのでしょうか?退職金の場合は、会社のお金で会社が積み立てているため、その会社が倒産してしまうとなくなってしまいますが、確定拠出年金の場合は、個人の​別口座に積み立てるため、倒産したり転職したりしてもなくなることはありません。そのまま次の会社に引き継がれる形になります。​

※退職金でも会社が社外積立していれば、倒産してもなくなりません。​

<違い③:運用方法>​

3つ目の違いは運用方法になります。退職金は会社が積み立てるため、運用方法も会社が決めることになります。一方で、確定拠出年金は基本的に自助努力で資産形成を行うため、運用方法も自分で決める​ことができます。​

■退職金の相場​

​退職金の金額は、会社都合による退職と自己都合による退職で異なります。平成25年に厚生労働省が出した「就労条件総合調査結果の概要」によると、「勤続20年以上×45歳以上×大卒」の退職者に支払った退職金の平均は、会社都合の退職(定年退職)の場合は1,941万円、自己都合による退職の場合は1,586万円です。会社の規模や勤続年数により退職金の相場は大きく異なります。定年退職者(大卒)の退職金の相場は、大企業だと約20002500万円、中小企業だと約10001300万円と約2倍の違いがあります。勤続年数別の退職金の相場(大企業×大卒)は、5年で約120万円、10年で約300万円、15年で約600万円、20年で約1,000万円、25年で約1,500万円、30年で約2,000万円になります。自己都合・中小企業・高卒などの場合は、これより低い相場になります。

 

■退職金の計算方法​

​自分がもらえる退職金がどういう計算をして算出されるのかをご存知でしょうか?まずは退職金規定を確認してみましょう。就業規則などに退職金の計算方法が記載されており、それに沿って計算することで大体の金額を知ることができます。

退職金の計算方法で多いものをいくつかご紹介します。

<計算方法①:定額制>

シンプルに勤続年数によって退職金が決まる制度になります。基本給や貢献度などは加味されず、勤続年数が5年で30万円、6年で40万円などというように、勤続年数が上がるほど、退職金が高くなっていきます。

 

<計算方法②:基本給連動型>

基本給連動型とは、基本給や勤続年数・退職理由などを考慮し決定する制度になります。計算式で表すと、「退職金=退職時の基本給×支給率(勤続年数により変動)×退職理由係数」です。支給率や退職理由係数は会社により異なります。

 

<計算方法③:ポイント制>

勤務していく中でポイントが付与されていき、その合計ポイントによって退職金が変わる制度もあります。例えば、1年働くごとに30ポイント、一定の成果を出すごとに50ポイントなどです。ポイント制の場合の計算方法は、「退職金=合計ポイント×ポイント単価(1ポイント1万円など)×退職理由係数」になります。

■まとめ​

転職を考えたときに、退職金がいくらもらえるのか?ということがとても気になると思います。退職金の相場は、「勤続年数が何年か」「大手企業か中小企業か」「大卒か高卒か」「定年退職か自己都合による退職か」などによっても変わりますし、明確な法律上の規定がなく、各企業が独自に設定することができるため、「定額制・基本給連動型・ポイント制などのそもそもの計算方法」「算出する項目と数値」など、退職金と一言でいっても、会社によって大きく異なります。就業規則などに記載がある退職金規定を参考にしてみると良いでしょう。