他業界へチャレンジしてみたいけど何歳までOKなの?
他業種への転職のしやすさは年齢に関係ない!?
企業側はできる限り即戦力となる人材を採用するために中途採用を行っています。しかし昨今の売り手市場により、以前と比べて転職市場も大きく変わってきました。新卒採用がうまいこと進まず、その遅れを取り戻すために中途採用を行うことが増えてきたため、「第二新卒歓迎」や「ポテンシャル採用」と記載されている求人をよく目にするようになりました。以前よりも転職しやすい状況であり、他業界へチャレンジしたいと考える人は少なくないと思います。他業界への転職を叶えるために重要なことは、「年齢」×「スキル・能力」×「業種」です。
「年齢」「スキル・能力」
結論から先にお伝えすると、他業種への転職のしやすさ/しにくさは年齢によってそれほど変わりません。転職サイトdodaの「採用担当者のホンネ-中途採用の実態調査 5000人の転職事例から探る 異業種転職を受け入れる可能性の高い業種は?(https://doda.jp/guide/saiyo/012.html)」によると、下記のようなデータが出ています。
第二新卒と呼ばれる24歳以下が異業種からの転職者の割合が66.5%と最も多いです。(ちなみにですが、第二新卒という言葉にははっきりした定義はありません。一般的に新卒で入社し、学校を卒業後3年以内の求職者に対して用いられます。)年齢だけでみると、未経験職へのチャレンジにおいて最も募集している求人が多い層になります。新卒に一番近い転職希望者になるため、人柄や志向性などのポテンシャルで採用されるケースが多いです。
異業種からの転職者の割合が最も低いのが40~44歳になりますが、それでも51.0%と半分以上の人が異業種からの転職であることがわかります。もちろん20代のようにポテンシャルで採用されるわけではありません。24歳以下・20代後半(25~29歳)・30代前半(30~34歳)・30代後半(35~39歳)・40代前半(40~44歳)では求められる役割・ミッション・スキルが異なります。
【24歳以下】
ほぼ新卒と同じ扱いとなります。企業側としては、社会人経験が1~3年程度あるため、社会人マナーや社会人としてのスタンス形成に必要な研修・コストなどがかからないというメリットがあり、新卒よりも第二新卒を採用したいと考える企業も少なくありません。
【20代後半(25~29歳)】
業界・企業・職種により異なりますが、30代前半でリーダー/主任クラス、30代後半で係長クラス、40代前半で課長クラス、40代後半で部長クラスという流れが一般的になります。20代後半の人に求められるのは次期リーダー候補です。将来的に幹部候補として迎え入れられることも多いですが、まずはリーダーとして引っ張っていってほしいという願いから、20代前半よりもしっかりとした人柄・志向性・スキルを求められます。
【30代前半(30~34歳)】
リーダークラスの経験をされている人が多い世代であり、より大きな組織のマネジメントがミッションになります。20代にはないレベルのマネジメント能力・ポータブルスキルと呼ばれるコミュニケーション力や論理的思考力・高いリーダーシップを求められます。20代が持ち合わせていない30代だからこその魅力・ストロングポイントに加えて、柔軟性や適応能力も優れていることを示すことができれば20代の人よりも魅力的に企業側に映る可能性が高いです。
【30代後半(35~39歳)】
管理職候補として採用されるケースが多いです。30代前半で求められるスキル・経験のもう一段高いレベルを要求されることに加えて、ビジネス拡大に向けた戦略・先見性、適材適所に人員配置できる人を見る目が必要になります。ああでもない、こうでもないと悩み続けていては前に進めることができないため、柔軟性をもちながらも高い決断力も重要です。
【40代前半(40~44歳)】
この年齢の人の半分以上が異業種へ転職していることは意外に思ったのではないでしょうか。既存の事業を伸ばすために新しい知見やノウハウを取り入れようと採用することや、新しい事業領域に進出するためにその領域で長年活躍している40代前半の人を採用しようとする動きが多いためです。業種だけではなく、別職種への転職をする可能性もあります。例えば、なかなか採用活動がうまくいかず、思い切って人事部長を新しく採用しようとする企業の場合、他社で人事部長の経験がある人以外に、人材業界(採用領域)で営業部長をしている人を採用するケースがあります。営業部長の方がより多くの会社に触れているため、どうすれば採用がうまくいくのかのノウハウや知見を多く持っている可能性が高いためです。
「業種」
次に業種について説明したいと思います。同様に、転職サイトdodaの「採用担当者のホンネ-中途採用の実態調査 5000人の転職事例から探る 異業種転職を受け入れる可能性の高い業種は?(https://doda.jp/guide/saiyo/012.html)」によると、下記のような業種別の異業種からの転職割合のデータが出ています。
商社/流通が最も異業種からの転職者の割合が高く80%を超えています。IT/通信が最も低いですが、それでも40%を超えています。割合が高い上位2業種について説明します。
【商社/流通】
異業種からの転職者のうち半分以上が営業職となります。他の業種と比較すると、入社時にそこまで専門的なスキルや知識を求められないのが特徴になります。専門性が必要な技術営業などにおいては、メーカーの営業や技術者の転職が目立ちます。管理部門や事務系の場合は、他の職種に比べると業界の特性が出にくいため、異業種からの転職者が多い傾向にあります。一方で、メーカーは異業種からの転職割合が49%ですが、多くは商社から「自社製品を扱いたい」との理由から転職するケースが多いです。
【サービス】
商社業界に次いで高い割合となっているサービス業界ですが、その1番の要因がポータブルスキル(主にコミュニケーション能力)と想いを最重要視しているからです。サービス業の中でも異業種からの受け入れを多く行っているのが、人材業界・コールセンター・ホスピタリティ業界(ホテル・ブライダルなど)になります。専門的な知識や業務の流れを覚えることは比較的難しくないですが、その分高いコミュニケーション能力が問われます。また、働き方(シフト制勤務など)や給与面から同業界へ転職する人が他業種に比べると少ないことも、異業種からの転職者が多い理由となっています。4位の小売/外食業界も同様な理由から、高い割合になっています。
まとめ
ここまで年齢別・業種別の異業種からの転職割合を元に、チャレンジのしやすさ/しにくさを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。データにもあるように、20代であれ、30代であれ、40代であれ、可能性だけでいうとそこまで大きな差はありませんが、年齢によって求められるスキル・経験は大きく異なります。他業種へチャレンジしたいと思った際は、自分に要求されそうなミッションやスキルは何なのか、どこの業界を志望するのか/どういった業種からの転職が多いのかを確認し、今までの経験や身につけたスキル・今後のビジョンや想いをしっかりと整理し、難易度の濃淡はありますが可能性は十分にありますので、最後まで諦めずに臨んでください。