転職活動を始めようと考えたとき、「仕事と並行してやるのは大変だから、できれば早く決着をつけたい」と考える人も多いはず。しかし、転職活動に平均どの程度の時間がかかるのか、ご存じでしょうか。

平均期間を知った上で、転職活動を早く終えるためのコツをつかめるよう、具体的な方法をご紹介します。今から転職をしようとしている方、そして今、転職活動中の方もぜひ参考にしてみてください。

 

 

■転職活動にかかる平均の期間は?

 

転職活動にかかる平均の期間は、3カ月~半年といわれています。3カ月は「転職したい」と考えてから短縮しようと考えて動かなくても一般的に転職活動が決定する期間。「良い会社があれば、見つかり次第転職したい」と考えている場合は半年程度かかります。

3カ月の内訳は、1カ月~1ヶ月半の間に応募先選定・書類作成・応募の期間、1カ月半~2カ月半の間が面接、残り半月ほどで入社先を検討するといった配分であることが多いです。企業が三次面接まで行っている場合はもう少々かかるかもしれません。

半年の場合、内定まで出たとしても「もっと良い企業があるのでは」と感じて転職活動を継続するケースも多く、もう1サイクル転職活動を行うこともあります。また、応募する前の段階でかなり絞り込むケースもあるため、応募する企業自体が少なくなかなか選考に進まないということも多いです。「良い企業があれば」という考えにも段階があり、転職をそもそもそこまで前向きに検討していない場合は、本当に良い企業が見つかったら応募するスタンスで応募から選考までの期間が長くかかるケースが多いです。

転職エージェントを使った場合も、たいてい3カ月程度の期間で決定していきます。エージェント側の担当が1人の候補者にかけられる目安時間を3カ月程度とおいているケースも多いため、応募・面接・内定までの一連の転職活動を3カ月程度で完了することが多いでしょう。

自分で転職活動を行った場合と転職エージェントを使った場合で比べると、転職エージェントを使って転職活動を行った場合の方が、応募や面接の日程調整などに自分で時間を割く必要がないため、選考がスムーズに進むことも多いでしょう。

自分で転職サイトや会社HPから応募する形式で転職活動を行う場合は、応募書類をそれぞれの企業分準備し、郵送(メール送付でも可能な企業も、もちろんあります)。そして面接日程の調整も自分が企業と直接やり取りする必要があります。転職エージェントの場合は応募書類は一度書けば流用してくれるので応募の度に書き直す必要がなく、エージェントが推薦状をつけてくれるというメリットも。

どちらが自分に合っているか、あるいは現職の忙しさなどを参考にしてどちらを選ぶか考えてみるのもいいでしょう。

 

◯早く決めたいからといって安易に退職するのはNG

 

「すぐに退職をしたいから、転職活動をできるだけ早く決めたい」という思いがあった場合でも、「早く決めるために退職をしてから転職活動を始めよう」というのはあまりおすすめできません。理由としては、辞めてしまってからだと収入源がなくなってしまうからです。特に若い年齢で貯蓄があまりない場合、一人暮らしなどの場合はお金の心配をしながら転職活動を行うことになります。

あまり気にならないと思っていても自分の貯金が目減りしていくのを感じると、誰でも焦りが出てきてしまうものです。焦りが出てしまうと適切な判断が下せなくなり、辞める前よりも、「少しでも収入が高いところに入社したい」と思う傾向が強くなるなど軸がぶれる可能性もあります。

仕事をしながらの転職活動でも3カ月より早く決定させることもできますから、わざわざ辞めてからの転職活動を選ぶ必要はありません。安易に退職を決めてしまわないように、注意してください。

では次の章で転職活動に早く決着をつけるコツをご紹介します。

■転職活動に早く決着をつけるコツ

 

転職活動に早く決着をつけるためには、下記6つのコツがあります。しっかり実践していけばやらなかったときよりも早く決められる確率を上げられるはず。ぜひ参考にしてみてください。

 

・自己分析

転職活動を早く決めるのに一番重要なのが、自己分析です。自己分析をきちんと行っておかないと、転職活動中に価値基準がずれていき「やっぱり◯◯業界がいい」「こういう働き方ができるところがいい」と当初の転職目的から離れていってしまうこともあります。そうなると軸がぶれてしまうことで迷う時間ができ、通常よりも転職活動に時間がかかってしまうでしょう。また、本来の目的から外れた転職先を選ぶ可能性も高いため、注意が必要です。

「何のために転職をしようと考えたのか」をよく知るためにも、しっかり自己分析の時間を取りましょう。また、自己分析というと、好き嫌い・得意不得意などを知るものというイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、転職する場合の自己分析には「退職したい理由」や、「今回の転職で実現したいこと」なども含めて本当の目的を知ることが重要です。

退職したい理由や転職で実現したいことなどは複数要素が絡む問題のため、どれが本当の理由か、わからなくなることもあるでしょう。その場合はどの優先度が高いのか、しっかり時間をかけて分析してください。優先度を間違うと転職した先でも不満が溜まってしまい、短期間で転職活動をすることになってしまいます。納得・満足を叶える転職を行うためにも、自己分析を簡単に考えずに取り組むことが重要です。

また、現職に入社したときに持っていた目標とその結果、毎年立てていた目標とその結果なども振り返っておくと、転職活動にそのまま活かせます。詳しいやり方は次の項目でご説明します。

 

・経験、実績、評価、エピソードの棚卸し

自己分析が終わったら、これまでの経験・実績、評価とエピソードの棚卸しを行います。「自分が経験してきたことについては覚えている」と思っている人も多いですが、年数が経つと詳細な内容は忘れてしまっているものです。

特にエピソードや評価などは忘れていることも多いため、1年ずつ何をやったかを振り返るたびにこの4つの軸で棚卸しをしていきましょう。これをしっかり行っておくと重厚な志望動機や自己PRが作れるようになります。

このときに現職に入社したときに持っていた目標とその結果、毎年立てていた目標とその結果なども一緒に棚卸ししておきましょう。転職理由などによっては、面接で「入社当初の目的は果たせたのか」と問われることもあります。そのときに当初の目的を思い出せないようでは今回の志望動機も説得力を失ってしまうため、棚卸しの機会に思い出してメモしておき、答えられるように準備しておいてください。

下記のように、それぞれの項目が転職活動でアピールするのに必要な項目に活かせます。色分けなどをしておき、アピールする文章に活用できるようまとめておきましょう。

・経験、実績

=自己紹介・志望動機・自己PR・転職で実現したいこと・キャリアプランなどに活用

・評価

=自己PR・キャリアプランなどに活用

・それぞれのエピソード

=あらゆる項目の説得材料として活用

 

 

・情報収集

棚卸しが終わったら、いよいよ情報収集を行っていきます。情報収集には業界・企業研究や、求人情報には載っていない細かい情報収集を多方面から行うことを含みます。1ジャンルだけの情報では偏りが出るため、インターネット上の情報でも求人広告・HP+採用HP・IR・新卒採用ページ・転職サイトとエージェント・口コミサイト・公式SNSなどから情報を収集してください。

また、インターネットに載っている情報だけでは偏りがあるため、転職エージェントに登録して情報収集をする、知人に働いている人を紹介してもらうなどリアルな情報収集も欠かさないでください。できれば楽しんで働いている人に話を聞くのがおすすめです。どんなに良い企業であっても、働いている人自身が楽しんで働けていないのであれば、プラスの情報が出てこないと考えましょう。

それらの情報収集ができたら、自己分析とキャリアプランなどと合わせてどこに応募するべきかを総合的に判断してください。

 

・一気に応募、面接をしていく

応募先選定までが肝となりますから、あとは一気に応募をしていきましょう。書類の通過率は年齢や経験によって変わりますから、とりあえず一気に応募をし、複数社の選考を受けられる体制を作ってください。内定が出る時期もだいたい同じにできるよう、同じ時期にどんどん応募していくのがおすすめです。

応募をしたら後は面接の通知が来るか来ないかなので、面接に必要な準備をしながら待ちましょう。転職の場合は多くでも三次面接までという場合が多いため、だいたい同じ時期に内定が出るようになるはずです。そうしておくと入社先も検討しやすくなります。

 

・退職交渉を早々に始める

例えば3カ月で絶対に決めると決めている場合は、転職活動中に退職交渉に入ってもいいでしょう。退職交渉にあまり時間がかからないと判断できている場合は1カ月+アルファくらいの時間をキープできていれば問題ありません。ただ、退職交渉がかなり難航した場合は入社日をずらすことはできないため、期限を決めて交渉を前に進める覚悟を持っておきましょう。

 

・引き継ぎ準備を転職活動と並行する

引き継ぎ準備は、転職活動を始めた段階からスタートしておきましょう。資料作成などの地味に時間がかかるものは後々になればなるほど、時間がかけられなくなります。応募段階までは応募したら後は連絡を待つだけなので、その時期にどんどん引き継ぎに必要な準備を粛々と進めておくと後が楽になります。

 

■まとめ

 

転職活動のときに気になる、転職活動の平均期間や早く決着をつけるコツをまとめてご紹介しました。無理に早く決める必要はないですが、早く新しいスタートを切りたいと考えているなら、まずは応募前の自己分析や棚卸しがとても重要になります。転職によって良い再出発ができるよう、ぜひコツを参考に転職活動を行ってみてください。