給与交渉を上手に行うためには、まずは自分の希望する金額を知ることです。それから、他社からの提示額や意欲を伝えながら、希望の金額に近づかせるように交渉していくと良いでしょう。頑なに希望金額を伝え続けたり、現職との比較をしすぎると不採用になる可能性もありますので、注意が必要です。
■給与交渉を成功させるコツ3選
できる限り高い年収をもらいたいと誰しもが思いますが、心象が悪くならないか不安でなかなか給与交渉ができない人もいるのではないでしょうか。そんな人のために、給与交渉を成功させるコツを3つご紹介します。
<成功させるコツ①:他社からの提示金額を利用する>
売り手市場が続いている昨今では、複数社から内定をもらえることも少なくありません。第1志望の企業よりも第2志望以下の企業の方が提示される年収が高い場合があります。そんなときは、第1志望の会社に「他社様から内定をいただいており、○○万円を提示いただいております。」と伝えてみると良いでしょう。他社からの提示金額を伝えることで、できる限り近づかせるか、場合によっては超える金額を提示してもらえることがあります。
社内稟議の上、金額を提示していることから、一度条件通知書を発行されてからよりも、通知書を作成する/社内稟議する前に伝えた方が、考慮してもらえる可能性は高まります。一度決めた金額を再度検討して、より高い金額を提示することはハードルが高いからです。
<成功させるコツ②:希望金額を明確に伝える>
悪い風に思われることが怖くて、自分の希望を明確に伝えることが難しいことがあるとは思いますが、求めている金額があるのであれば、しっかりと明確に伝える方が考慮してもらえる可能性は高まります。特に大事なことは、「なぜその金額がほしいのか」です。ほぼ全員が年収アップしたいと考えているため、大した理由もなく、○○の金額がほしいと伝えても、「そりゃあ、できる限り高い金額をほしいだろうな」としか思われずに、希望の金額を提示されない可能性があります。家庭事情や自分の頑張りに対する正当な評価など、特に現職・前職よりも年収アップを希望する場合は、ちゃんとした理由を伝えることが希望の金額を提示してもらうためには大切なことです。
<成功させるコツ③:即決ラインを伝える>
企業側としては入社してもらいたいからこそ年収を提示するわけであり、希望の金額を提示しても他社と比較して最終の判断をするくらいの温度感である場合は、無理してでも希望金額に上げようとは思いません。一方で、「○○万円まで上げてもらえた場合、即決で入社します。」と伝えた場合は、希望金額を提示される可能性が高まります。辞退する年収ライン・検討する年収ライン・即決する年収ラインをそれぞれ明確に考えておくことが重要です。
■給与交渉の失敗例3つ
<失敗例①:現職を引き合いに出す>
選考を受けている他社から提示された金額を利用して交渉することはオススメしますが、現職の金額を引き合いに出すことは避けた方が良いでしょう。「現職の場合は数年後に○○万円に上がるため、○○万円以上はほしいです。」と伝えた場合、それならば転職せずに現職に残ればいいと、マイナスの印象になってしまうことがあります。また、現年収よりも低い金額を提示された時に、「現年収で○○万円もらっているため、それ以上ほしいです」と伝えたところで、知った上で提示している金額になりますので、再度検討したり、金額UPする可能性は低いでしょう。
<失敗例②:ハッキリ伝えすぎる>
希望の金額を明確に伝えることは重要ですが、引き際を間違えるとかえってマイナスの印象につながってしまいます。希望金額でないとそもそも入社を決めない・辞退するという温度感である場合は良いですが、そうでない場合は注意が必要です。自分の希望を押し通そうとしすぎることで、柔軟性がないわがままな人という印象をもたれ、最悪の場合は不合格になってしまいます。現在働いている他の従業員との兼ね合いもあり、どうしても難しいレベルの場合もあります。どの企業も必ずしも出せるわけではないことを理解し、ハッキリと希望を伝えながらも柔軟な対応をすると良いでしょう。
また、希望する金額と自分のレベルが見合っているかの観点も重要です。年収≒会社からの期待・評価であるため、スキルや経験をもっていない場合は会社に貢献することは難しいところもあるため、相応の金額になります。自分のレベルを棚に上げて交渉してしまうと、客観的に見る能力や思考力がないと判断されてしまうこともあります。特に未経験職種へのチャレンジの場合は、現職より下がることがほとんどになります。
<失敗例③:逆質問の1つ目で給与交渉>
ほとんどの企業の面接では、逆質問の機会があります。企業から年収の話がされないときはいくらになるか気になるところですが、逆質問の一発目で「○○万円を希望しておりますが、いくらくらいになりそうでしょうか?」と聞くことは避けましょう。いきなり給与の質問をすると、「仕事内容やビジョンなどよりも給与の方が大事なんだ」と判断されてしまいます。まずは仕事や会社について理解を深めた上で、給与について確認・交渉を行いましょう。
■給与に関する注意点
<注意点①:年収だけではなく月給も確認する>
ボーナスが大きい企業でよくあることが、年収はUPするが月給がDOWNすることです。例えば、同じ年収450万円でも、月給35万+賞与約1ヶ月分(420万+30万)のパターンもあれば、月給25万+賞与6ヶ月分(300万+150万)のパターンもあります。1年間のトータル金額は変わりませんが、月々10万円の差があります。ボーナスをもらえるタイミングはより多くもらえるので良いですが、賞与が満額出ない1年目などでは、生活がかなり圧迫される可能性がありますので、年収と共に月給や賞与の金額も確認して、問題なく生活ができるかを判断しましょう。
<注意点②:福利厚生もチェック>
給与に含まれている/含まれていない福利厚生もチェックが必要です。例えば、前職では社宅制度があり、家賃10万円の物件を2万で住めていても、社宅制度や住宅手当がない場合は家賃10万かかるため、同じ年収でも必要経費の金額が異なります。生活をイメージしながら、どういった制度や手当があるのかを確認することが大切です。また、各種制度や手当の規定も確認することをオススメします。住宅手当が支給される場合でも、30歳までや独身に限るなど、それぞれの会社で独自の規定が存在していることがほとんどです。「ずっともらえると思っていたけど、入社して1年で手当てがもらえなくなった」という場合もありますので、しっかりと確認しておきましょう。
<注意点③:給与だけで決めない>
お金は重要な要素になりますが、給与だけで入社する企業を決めないようにしましょう。転職において重要にしたい項目と優先順位をしっかりと考え、それに沿ってどの会社に入社するかを決めていくと良いでしょう。給与の高い方や福利厚生が充実しているだけで決めてしまった場合、入社後に大きなギャップを感じてしまう可能性が高まります。
■まとめ
できる限り自分の希望に近い金額を提示してもらうためのコツ3つと失敗例3つは下記になります。
・コツ①→すでに提示されている金額を使う
・コツ②→ビビらずに明確に希望金額を伝える
・コツ③→入社を即決する年収ラインを伝える
・失敗例①→現職と比較する
・失敗例②→ハッキリ伝えすぎて譲ろうとしない
・失敗例③→真っ先に給与について質問する
どうしても給与は気になりますし、生活していく中でとても重要なものですが、給与ばかり気にしてしまうとそもそもの転職理由や軸を見失ってしまいます。転職活動を成功させるためにも、希望ラインや辞退ラインを明確にした上で適切に給与交渉を行いながら、転職で叶えたいことに意識を向けましょう。