「転職するなら、35歳まで」…転職しやすい年齢に上限がある、という話を聞いたことがある方、なぜその年齢が「転職がしやすい年齢の上限」として言われているかご存知ですか?

実はこの「35歳」という年齢に、転職者としてどういう方が「多く求められている人物像か」を考えるヒントがあります。

「何のために転職するのか?」「どんなタイミングで転職するか?」を考えるために知っておきたい「若さという武器」の使い方をご紹介します。

 

■「若手人材」の想定年齢は35歳以下?

まずは、「若さ」についての定義を確認しましょう。

実は、企業が人材を採用するときに年齢を制限して募集をすることは、原則禁止されています。そのため、「〇歳以下の方」と年齢を区切って募集採用することがすべての企業で行なわれるわけではありません。

参考:労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A(厚生労働省)

しかし、例外があります。「若手人材」に限って採用をすることが認められるのが「企業内での人材育成が行われている中で、長期勤続を通じた技能・ノウハウの継承」を目的とするために、「期間の定めのない労働契約を締結すること」。

つまり契約期間の定めのない正社員採用をする場合です。

そのため、「若手人材」を対象に、年齢を区切って募集をすることが可能になるのです。契約社員や派遣社員の場合、年齢を区切っての募集はできないことをおぼえておいてください。

それにもかかわらず、なぜ「35歳」という年齢が「若手人材」と言われることが多いかという理由のひとつに、公共の職業紹介事業を行う「ハローワーク」の機能である「ヤングハローワーク」が対象とする年齢が「35歳未満」である地域が多いからという点が挙げられます。

このヤングハローワークは地域ごとに設けられていますが、地域によって「ジョブカフェ」「わかものハローワーク」といった名称で世代によっての就職支援を行なっています。全国一律で35歳と決められているわけではなく、「30歳以下」「35歳未満」「45歳以下」など、ある程度幅があり、それを超えてしまったら一切の支援が受けられないわけではありません。

35歳」は公的な機関が設けた「一つの目安」であり、すべての会社で同じように「35歳」を目安にしているわけではないことに注意が必要です。

 

■「若手人材」を求める理由

次に、企業がなぜ「若手人材」を求めるのか、その理由を確認しましょう。その理由によって、「若ければ若いほど良い」と考える企業もあれば、「年齢はあくまで一つの目安であり、自社の選考基準をクリアできるなら、何歳であっても構わない」という企業もあります。

 

社内の年齢構成バランスを整えたい

先ほどご紹介した「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化」の例外事由で挙げられていた「長期勤続を通じた技能・ノウハウの継承」を目的とした社員の年齢構成バランスを整える採用の場合、欲しい年齢層は会社によって幅があります。

 

・特定の年代に新卒採用を実施しなかった

例えば、リーマンショックが起こった2011年から数年間など、国内での新卒採用が多くの業界見送られたり、採用人数が大幅に絞られたりした時期がありました。会社の業績によって、採用数は大きく変動します。その後景気が回復したとき、業績が好調になったときに、手薄になった世代について補充しようとする動きが強くなります。

 

・特定の年代だけ離職が多かった

定期採用は例年通り実施していたが、特定の世代だけ離職率が高くなってしまうというケースもあります。

 

・しばらく採用自体を行っていなかった

中小企業の場合、定期新卒採用は行なわず、中途採用のみ行い、定年などで離職する社員が出た場合のみ補充的に採用するケースがあります。

 

■すぐに使える「部下」が欲しい

定年まで年功序列で昇給・昇格が行われるという会社は以前に比べれば少なくなってきたとはいえ、ある程度年齢と経験は比例するケースが少なくありません。

「年齢の上下」と「上司・部下の上下」が一致していたほうが、お互いに気持ちが楽…という方が多数派です。

「経営層・マネジメント層」よりも「実働を担うスタッフ層」のほうが採用する人数が多いため、配属先の上司よりも「年齢が下であること」を優先して採用したいと考える企業があります。

これから年功序列型から、ジョブ型と呼ばれる「同一労働同一賃金」の雇用形態の企業の割合が増えるにしたがって、このタイプの企業は減っていくでしょう。

 

自社の報酬基準に合わせやすい

転職する際に、「給与アップ」を目標にされていなくても、提示された雇用条件がこれまでの給与よりも多ければ、最終的にその会社を選ぼうという動機付けは強く作用します。

ところが、勤続年数に従って基本給が上がっていく給与形態の企業に勤めていた方の場合、年齢が上がれば上がるほど給与は多くなります。これまでの会社で得ていた給与よりも、高い給与の提示ができる可能性が高くなるのは年齢が低い方です。

 

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■「若さ」がメリットにならないこともある

「若いこと」はプラスに作用することばかりではありません。転職先での業務をするにあたって最低限必要な経験や知識がなければ、当然採用されないからです。

「経験や知識は一切要らない。前向きに業務に取り組もうという気持ちだけあればいい」という企業であれば、逆に「年齢も一切不問」で年齢が40歳であっても50歳であっても関係ない、というケースもあるでしょう。

また、長く働いてもらえる人材を採用したい企業であれば、「入社してすぐに転職を考えることになった理由が知りたい」と離職理由について詳しく確認されることもあります。

「離職理由については、あまり話したくない…」という方は、どう対処するか事前に考えておかなくてはなりません。

 

■若さを武器にするときは、「どんなポジションで転職したいか」をしっかり考えよう

結局、何歳までを「若手」と表現するかは、会社によっても、そのときの求人によっても異なります。

「一人前に仕事ができるようになるまで、3ヶ月もあれば立派な戦力になれる」という仕事と、「まずはチームで調査の仕事から分担して、数年かけてノウハウを身につけてやっとクライアント担当になれる」という仕事では、年齢の下限も変わってくるでしょう。

しかし、「若手人材募集」と告知をしている企業に、共通していることが一つだけあります。

それが、「若さ」からイメージされる

・素直さ

・成長意欲

・前向きさ

といった「将来へのポテンシャル」を感じさせる要素です。

 

・まっさらなところからリセットして、もう一度新卒のときのような気持ちで新しい仕事にチャレンジするリセット型

・今までの経験を活かして、さらにスキルを磨いたり、早くマネジメントや経営に関われる環境を求めて転職するキャリアアップ型

 

どちらのタイプとして転職後の自分をイメージする場合であっても、過去に囚われすぎず、新しい環境に前向きに馴染んでいこうという素直さを感じさせることは高い評価につながります。

そのうえで、企業がどちらのタイプの転職者を期待しているのか、見極める力も必要です。

特に、第二新卒と呼ばれる入社3年目以降の転職希望者の方は、「若手・未経験の方歓迎」という求人以外にも、経験者として応募できるステージになります。

自分がリセット型で転職したいのか、キャリアアップ型として転職したいのか悩んでいるという方、ぜひご相談ください!