35歳の壁という言葉もあるように、30代になってからの転職は難しいと想像する方も多いのではないでしょうか。実際、第二新卒の頃の転職と30代になってからの転職では求められるものが大きく変わってきます。

そこでこの記事では30代・営業職での転職を考えている人向けに、求められる人物像とスキルについてご紹介します。転職活動前に求められる人物像を知って、必要な力や心構えを身につければ、より成長した状態で転職活動が行えます。

よりよい転職先に巡りあえるよう、ぜひ参考にしてみてください。

 

■営業職の仕事とは

30代で営業職の転職を成功させるために、まず営業職という仕事を改めて把握しましょう。会社によって異なりますが、営業職の仕事は大きく3つ。顧客との関係構築、商品・サービスの購入促進、売上目標の達成に分かれています。

 

◯顧客との関係構築

営業職の仕事でまず必要なのは、顧客との関係構築です。関係構築をしておかなければ会話ができず相手の課題もわかりませんし、それを解決できる自社の商品・サービスも見つけられません。また、信頼してもらえなければたとえ課題が明確でも話を聞いてもらえないため、まず関係構築が必要です。

そのためには相手に伝わる言葉で話すこと、そして相手が勤める業界のトレンドやニュースを知っておくことが大切になってきます。

・相手に伝わる言葉で話す
相手に理解してもらうためには、相手と同じ言葉を使って話すことが重要です。自社の業界内では専門用語を使った方が話しやすい内容であっても、その業界にいない相手には伝わりません。言葉の説明だけでは理解不足になる可能性がある場合には、資料の準備・デモンストレーションなど、商品・サービスを知らない人にもわかりやすく伝わるよう配慮しましょう。

・トレンドを把握する
先方のビジネスに関わるニュースや業界のトレンド、相手先企業の動向などを把握しておくことが重要です。相手がどのような立場に置かれているのかを想像できれば、相手が求めることもわかるようになります。こういった活動が信頼を積み上げ、顧客との良好な関係を育むことができるようになるのです。

 

◯商品・サービスの購入促進


営業職は自社の商品・サービスを売るのが仕事ですが、相手に買ってもらうにはその商品・サービスがないと困る理由が必要です。相手が解決したい課題の解決を商品・サービスがしてくれるとなれば、購入を促進しなくても相手から求められる状態ができあがります。そのためにはまず相手が何を求めているのかを見抜かなければなりません。

・相手の求めるものを見抜く
相手の課題を解決するには、相手がまず何を課題と思っているのかを知らなければなりません。関係性が構築できたらヒアリングをし、困っていることを特定していきましょう。

・自社の商品・サービスを熟知する
見つけた課題を解決するには自社の商品・サービスの性能や特徴、それが一体何の役に立つのか、活用の仕方でどう役立ち方が変わるのかなどを知っておくことが不可欠です。単なる商品・サービスの特徴ではなく、「御社の◯◯という課題はこうすれば解決できます」と明言できるレベルで商品・サービスを知っておく必要があります。

・商品、サービスを使って課題を解決する
見つけ出した相手の課題に対して自社の商品・サービスをどう使えば解決できるかを考えましょう。その後、解決するためのやり方を伝えて商品・サービスを購入してもらい、実践を促して課題解決に導きます。これによって商品・サービスの購入が叶います。

 

◯売上目標の達成


営業という仕事は顧客の課題を解決すること、商品・サービスを売りながら目標を達成するという2つを同時に達成しなければなりません。

・結果を出す
営業が売上を立てることで自社にキャッシュができ、そのキャッシュがあることでさまざまな活動ができるようになります。そのため、目標とされている売上に到達できなければ営業としての仕事を全うできません。

商品・サービスが売れずに顧客のためのボランティア状態になる、自己の利益に走って商品を売っただけの状態になることを避け、適度なバランスを保ちながら上記のような活動を行うのが営業職という仕事には大切です。

営業職の仕事を改めて把握したところで、転職するとき営業職に必要なスキルを確認しましょう。

 

■営業職の転職で必要なスキル

営業職の転職に必要なスキルで、代表的なものは下記5つです。

・営業経験
まずは営業経験が求められます。新規・既存、大企業・中小企業、経営層・それ以外など、対象はさまざま。応募した案件で実際に行う営業種別に近い経験があると、なおいいでしょう。

・目標を達成するコミット力
営業職が目標を達成しなければ、経営目線で期待する売上が立ちません。会社を大きくしたり、商品・サービスの強化を行うにも、売上を立てることが重要です。そのため、目標にコミットする力が必要になります。

・ヒアリング力
相手が求めていることを見抜くためには、ヒアリング力が欠かせません。共感を示す相槌や核心に迫る質問を駆使して相手の状況を正しく捉えれば、どんなソリューションを提供すればいいかが明確になります。

・課題解決力
顧客の課題を解決できることが商品・サービスの販売促進にもつながるため、課題解決のために何をすればいいかを理解して実施方法を提案できる力が必要です。

・トラブル対応力
商品・サービスの問題やコミュニケーションロスなどで、顧客とのトラブルが発生することもあります。その場合、会社の代表として事態を収束させるトラブル対応力が必要です。

それぞれの経験を思い出して応募する企業で活かせそうなものをピックアップしておくと、転職活動のときに役立ちます。

 

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■30代の転職で求められる人物像とスキル

では次に、30代という年齢で求められる人物像とスキルを考えてみましょう。

 

◯30代の転職で求められる人物像

30代の転職の場合約8年以上の勤務経験があるため、自分のやり方が確立されている反面、転職先になじみにくいというデメリットもあります。30代の転職では、そのデメリット部分を払拭できるような下記の要素をもった人物像が理想だといえるでしょう。

・積極性
・順応性
・情報収集力
・自走力

 

積極性・順応性はその会社になじむためには欠かせません。前職のやり方を引きずらずに新しい会社のやり方をすぐ受け入れ、改善すべき点に気づいたら提案を伝えるなどの方法で積極性も順応性もアピールできます。また、仕事に必要な情報も自ら収集しにいき、誰かから教えてもらう・指示をもらうまで待つという姿勢にならない情報収集力も重要です。

このように、初めての環境であっても自分で考えて工夫し、課題をクリアしていくことが自走する力をもった人といえるでしょう。自分自身で仕事を楽しめるような方法を作る、どんな事態でも工夫して納期までに最後までやりきるなど、自分で問題を解決できる人物かどうかは30代の転職の成否を分けるポイントです。

次に、30代の転職で必要なスキルを見ていきましょう。

 

◯30代の転職で必要なスキル

30代の転職で必要なスキルは4つあります。

・即戦力
個人としてすぐに営業活動ができる即戦力や、管理職経験をもとに部下を率いて売上を立てられるなどの即戦力が必要になります。30代前半は前者、半ば~後半は後者が求められるようになるでしょう。

・マネジメント能力
30代に入ってもプレーヤーとして働き続ける場合もあります。しかし、部下をマネジメントし、1人で働くときよりも大きな売上を立てることを求められることも多いです。

営業のマネジメントの場合、自分で達成するための戦略が立てられる力や達成意欲を育てることが重視されます。なぜなら、組織としては特定の人以外がマネジメントした場合にも、部下の人材が活躍できるように育てなければ意味がないからです。マネジメントする際には、このような観点も意識して行いましょう。

・管理職経験
30代前半の場合は、管理職としての経験がなくても問題視されないことが多いですが、管理職候補として働くことを前提に若手の面倒を見ることを期待されます。そのため、育成でどう役立てるかの経験を伝えることが重要です。

30代半ば~後半の場合、実際に管理職としての経験を求められることが多いです。若手が多い企業の場合は昇格対象が20代後半となるケースもありますので、応募先企業の管理職年齢や求める条件を確認して応募条件を満たしているか確認してみることをおすすめします。

・コミュニケーション能力
顧客とのコミュニケーションはもちろん、営業職の場合は他部署の方に協力を募る仕事も多くあるため、円滑にことを運ぶためのコミュニケーション能力は欠かせません。30代になればそのくらいできて当然と思われる年齢のため、不可欠な能力です。

 

■30代の営業職で求められる人物像

これまでご紹介したことを総合すると、30代の営業職で求められる人物像は積極性、順応性、自走力、育成力、影響力の5要素を備えた人材が求められます。

積極性、順応性、自走力の3つはまず積極的に会社になじみ、仕事に必要なものを自分で探して見つけ、いち早く成果を上げられる人材であること。育成力は自分の仕事だけでなく部下や後輩の育成も並行して行える人材であること。

そして、影響力は活躍やアイデアによってグループや部署に良い影響を与えられるかどうかを表しています。活躍によって自グループ・他グルーブ・他部署などの周囲を刺激することも影響力の1つですし、汎用的な営業手法アイデアを部内に共有して、部全体の売上を上積みするなども影響力の現れです。

上記4つの要素を持った人材であれば、経験をうまく活かしつつ環境に順応できるため、転職市場でも多くの企業から求められる人材像といえるでしょう。

求められる人物像に近づくには、この4つを身につけるために今の仕事でどんなことができるかを考えて仕事することが重要です。そうすれば転職活動に活かせる経験談が、たくさん生まれるはずです。1つでも自分を雇うメリットを感じさせられるように、今から取り組んでみてください。

 

■まとめ

30代営業職での転職では20代のときとは異なり、多岐にわたるスキルだけでなく積極的な姿勢も求められます。転職を考えているなら、ご紹介した要素の中で自分に不足しているポイントを見つけ、不足を補えるようにぜひ今から行動を始めてみてください。転職前に4要素を身につけた人材になり、理想のキャリアをつかみ取りましょう。