みなさまのなかには、メーカーの営業職を希望する方もいるでしょう。メーカーに営業職として入社し、充実して働くためには、事前に業務内容を知っておくことが欠かせません。
本記事ではメーカーの営業職が行う業務内容や営業の種類、扱う商材や特徴について、解説していきます。営業職をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

 

■メーカーの営業職が行う業務内容は?

メーカーの営業職には、さまざまな業務があります。ここでは気になる4つのポイントを取り上げ、解説します。

・現在および新しい顧客に対して、自社製品を採用してもらう仕事

メーカーの営業職は、自社製品の拡販がミッションとなります。以下の2つを実践して売上を増やすことが、主な業務となるでしょう。
・現在の顧客に対して、自社製品をより活用してもらう
・新たな顧客を見つけ、自社製品を使う顧客を増やす
製品が売れないとメーカーは売上が上がらず、利益も出せません。このため営業職はメーカーの業績を左右する、重要な仕事といえます。

・製造部門と顧客との橋渡し役も担う

メーカーの営業職は、社内の技術部門や製造部門、顧客それぞれとコミュニケーションを取れる立場であることが特徴です。このため顧客の要望や苦情を、技術部門や製造部門に伝えることは、よりよい製品を作る上で重要な業務です。
もっともこの業務は、楽ではありません。顧客からは、厳しいクレームを言われることも少なくありません。一方で技術部門や製造部門など、社内にある他部門との調整は苦労することも多いもの。うまく伝えるためには、コミュニケーションの工夫も求められます。

・営業先は企業など、法人が中心。海外の顧客も少なくない

メーカーの営業先は、企業などの法人が中心です。いわゆる「BtoB」の営業が主体となるでしょう。担当する顧客の数はメーカーによりまちまちで、なかには担当社数が1桁という担当者もいるようです。
またメーカーのなかには、世界的にも数少ない技術や製品を持つ企業も少なくありません。このような企業には、海外からも注文が寄せられます。営業担当者は海外出張の可能性もあり、語学のマスターも求められます。加えて夜間や休日にも注文や問い合わせが寄せられる場合があるため、時差を考慮した対応も重要です。

・商社営業や代理店営業との違い

メーカーの営業職は、商社や代理店とよく比較されます。それぞれとの違いは、以下のとおりです。
・商社はさまざまなメーカーを扱えるが、メーカーの営業職は自社製品のセールスが原則
・代理店と異なり、メーカーは自社で製造部門を持っている
加えて代理店販売がある製品を扱う場合は、代理店に対する営業を行うことも業務の1つにあげられます。

 

■営業の種類

メーカーの営業には、大きく分けて3種類があります。

種類

業務内容

ルート営業

担当する顧客を定期的に回り、御用聞きや新製品の売り込みなどを行う

新規営業

顧客でない企業を訪問し、新規受注につなげる

反響営業

広告やWebサイトから問い合わせがあった企業にアプローチし、新規受注につなげる

ある程度の社歴があるメーカーならば、ルート営業が主体となるでしょう。入社後は、担当する企業が割り当てられることになります。
もっともそれだけでは企業の成長が望めないため、並行して新規営業を行う必要もあります。その場合、これまで取引のなかった顧客にアプローチするわけですから、断られることは覚悟しなければなりません。
近年では、お問合せフォームなどを活用した「反響営業」も活用されています。興味や関心を持った企業が問い合わせしてくるわけですから、成約しやすいことがメリットにあげられます。営業活動が行いやすいことも、メリットといえるでしょう。

 

■扱われる商材はさまざま

メーカーの営業職で扱われる商材はさまざまであり、完成品だけでなく部品も商材となります。一方で原則として自社製品という制約があるため、営業活動には工夫が必要です。

・基本的には自社製品が対象。但し、関連会社や提携先の商材を扱う場合もある

メーカーの営業職は自社製品の拡販が目的ですから、扱う商材も自社製品が基本となります。このため自社製品に対する深い知識はもちろん、競合他社と差別化できるポイントも押さえておく必要があります。とはいえ他社の製品が優位に立つ分野でも、自社製品をセールスしなければならない点はつらいところです。
一方、自社で製造していない製品のなかには、自社製品と組み合わせることで業績拡大に貢献できるものもあります。この場合は、関連会社や提携先の商材を扱う場合もあります。

・完成品だけが商材とは限らない

メーカーのなかには、部品を商材とする企業も多くあります。これらは購入先の企業において、他の部品と組み合わせて完成品の一部となるものです。
従って、完成品だけが商材とは限りません。見ただけでは使いみちをイメージしにくい部品も多いため、部品メーカーに採用された場合は以下の点について、よく勉強する必要があります。
・部品の特徴
・主な使いみちや、特徴を生かせる使い方
・競合他社と比較した優位点

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■メーカーの営業職・4つの特徴

メーカーの営業職には、これまで解説した内容のほかにも4つの特徴があります。それぞれについて、順に解説していきます。

・ルート営業が中心のメーカーなら、売上は比較的安定する

営業職なら、ノルマも気になるもの。この点は、ルート営業が中心かどうかによって変わります。固定客の割合が多いメーカーなら売上も比較的安定するため、ノルマに追われる苦労やつらさも減ることでしょう。
もっとも固定客の御用聞きだけをしているのでは、だんだんと売上が下がってしまいがちです。このため、多少なりとも新規顧客の開拓は必要です。反響営業を活用しているメーカーであれば興味や関心を持つ顧客に絞って営業できますから、新規営業の苦労は軽くなります。

・忙しさは担当する顧客数や、新製品の数によって変わる

仕事の忙しさは、ワークライフバランスの観点でも気になるものです。忙しさを決める要素は、以下の3点にまとめられます。

忙しさを決める要素

説明

担当する顧客数

多いほど忙しい。

とりわけ、無理を言ってくる顧客が多いと苦労も増す。

既存顧客と新規顧客との比率

新規顧客の比率が高いほど、多くの営業活動が必要なため忙しい

新製品の数や発表時期

多いほど忙しい

顧客や取扱い製品が多いことはよいことと思われがちですが、営業活動をする上では楽といえません。極端な話、「取り扱い製品はロングヒットを飛ばしている1製品だけで、担当する顧客も大口の1社だけ」であれば、最も楽な営業活動となるでしょう。
もっとも営業活動に苦労することは、あなたのスキルを高めることにもつながります。従って、楽なことがよいこととはいえません。

・成約までには期間を要する。提案型の、じっくり進める営業活動が効果的

さきに解説したとおり、メーカーの営業職はBtoBの商談を扱う場合が多いです。企業は法人として意思決定を行うわけですから、複数の関係者による検討が行われます。このため、成約までには数ヶ月程度の期間を要する場合もあります。
成約に導くには、顧客の担当者が社内で説明するための情報提供が必要です。顧客は事業の課題解決を求めているわけですから、プレゼンの活用や提案型の営業活動が効果的です。あせらずじっくりと課題をヒアリングした上で、自社製品を活用した解決策を示すと成約に近づけます。

・顧客の発注状況を随時チェックし、欠品を起こさない工夫が必要

メーカーに勤める営業職は、需要を製造部門に伝えられる点が強みです。このため、欠品を防ぐ役割も持つことになります。欠品は顧客の売上を逃したり、製造ラインを止めたりする事態にもなりますから、顧客の発注状況や発注予定を随時チェックする必要があります。
これを実現するためには、日ごろから顧客と密にコミュニケーションを取ることが重要です。顧客から上手にヒアリングする能力は、求められるスキルの1つといえるでしょう。

 

■まとめ

メーカーの営業職には、自社で製造部門や技術部門を有するがゆえの特徴があります。原則として自社製品しか扱えない点は苦労の1つですが、顧客の要望や需要をダイレクトに伝えられる点は強みの1つです。提案し課題を解決する営業スタイルを求める方に、向いている職種といえます。
どの企業に入社しても、取り扱う製品に関する知識を身につける努力は欠かせません。各社の事業内容や営業スタイルをよく確認の上、あなたに合った企業を見つけることをおすすめします。