営業職に長年携わり、社会人としての基礎スキルや商品・サービスに対する専門知識を深めると、さらにステップアップできる可能性が開けてきます。たとえば営業職からの転身先として知られるのがコンサルタントです。転職によって得られるキャリアが気になる方もいるでしょう。今回は営業職とコンサルタントの違いをおさらいしつつ、転職後のキャリアについて解説していきます。

■営業とコンサルタントの違い

営業職からコンサルタントへの転職を検討する際に知っておきたいのが両者の違いです。違いを明確にしておくことで、コンサルタントに転職したあとのキャリアを想定しやすくなります。早速、仕事内容や年収などの違いを確認してみましょう。

違い1.仕事内容

営業は、営利目的で同種行為を反復継続することをさす言葉です。わかりやすくいえば、消費者や顧客が望む商品・サービスを売る仕事です。

商品・サービスには、メリットやデメリットが存在します。欠点を隠して魅力だけをPRすると、あとで商品の返品やサービスの解約につながり、下手をすれば会社への評判も下がってしまいかねません。

したがって、消費者や顧客に対して客観的な視点を持ちながら、わかりやすく商品・サービスを提案するコミュニケーション能力が求められます。

コンサルタントは、コンサルティングサービスを商品として提供する仕事です。具体的には、顧客の課題をヒアリングし、解決策を提案します。語源はconsultであり、日本語で「相談する」「意見を聞く」「指導を求める」などを意味します。

コンサルタントにはさまざまな種類が存在し、経営の悩みを解決する「経営コンサルタント」や、ITの推進をサポートする「ITコンサルタント」などがあります。

営業とコンサルタントも、商品やサービスを提案する点では似ていて、違いがわかりづらいかもしれません。ただ、コンサルタントの場合は商品やサービスを提案しても、顧客の課題を解決できなければ対価を受けるに値しません。

その点をふまえると、コンサルタントには顧客の課題を解決するための高度な専門知識とアウトプット力が求められることがわかります。

違い2.年収

営業職とコンサルタントの年収を比較するために、大手転職エージェントdodaによる職種別の平均年収ランキング(2020年)を確認してみましょう。

コンサルタント職と営業職の平均年収は下記の通りです。

戦略/経営コンサルタント:724万円
業務改革コンサルタント(BPR):688万円
リスクコンサルタント:668万円
ITコンサルタント:584万円
組織/人事コンサルタント:575万円
営業(医薬品メーカー):573万円
会計コンサルタント/財務アドバイザリー:567万円
営業(医療機器メーカー):559万円
営業(リース):527万円
営業(電子部品メーカー):521万円
営業(証券):500万円

参考:平均年収ランキング2020(doda)

コンサルタントの平均年収が営業よりも上位を独占していることがわかります。営業からコンサルタントに転職すれば、収入を高められる可能性が高いといえるでしょう。経営や業務、リスクに関するコンサルタントは、特に平均年収が高い傾向です。

転職の悩み・疑問はプロに相談
自分で求人を探す(無料)
あなたの希望にマッチした営業求人を探すことができます!
エージェントに相談する(無料)
営業職に精通したキャリアコンサルタントがあなたの転職をサポートします!

■コンサルタントに転職したときのキャリア

コンサルタントに転職したあと、どのような働き方ができるのか、気になる方もいるでしょう。参考として、経営コンサルタントやITコンサルタントの働き方についてご紹介します。

キャリア1.経営コンサルタント

経営コンサルタントとは、企業が抱える悩みをヒアリングし、専門的な視点から経営の課題に対して解決手段を提案する職種です。企業の課題を解決するだけでなく、講演活動や執筆活動を展開する働き方もあります。

また、経営コンサルタントの中には、中小企業診断士を取得する方もいます。中小企業診断士とは、中小企業の経営課題を解決するために診断・助言を行う専門家です。

専門知識を活用しつつ、具体的な経営計画を立てたり、行政や金融機関などを仲介したりします。経済産業大臣が管轄している国家資格として知られています。

経営コンサルタントは独立・起業をすることも可能です。事務所を立ち上げ、個人として開業したり、法人化したりする働き方も選択できます。

ただ、独立・起業では事務所費や営業活動費、生活費なども用意しなければなりません。また、金融機関から融資を受けるときに備えて、事業計画書を策定する必要もあります。

キャリア2.ITコンサルタント

営業で取り扱う商品やサービスは多岐にわたります。営業を続けていくうちに、特定分野に関する専門的な知識を獲得することも可能です。その場合、専門領域に特化したコンサルタントを目指す道も開けてきます。

たとえば、IT営業を経験してきた方であれば、ITコンサルタントへのキャリア設計が考えられます。

ITコンサルタントとは、ITに関する専門知識をベースに、システムや技術の提案によって顧客のビジネスを改善させる職種です。経営コンサルタントが「戦略」と「マネジメント」の領域を主な対象範囲とするのに対し、ITコンサルタントは「マネジメント」「ITインフラ・ソリューション」の領域を対象範囲としています。

ITコンサルタントは、さまざまな資格によってITの専門知識を証明できます。IT分野全般に関する技能を証明する「応用情報技術者試験」や、IT戦略のスペシャリストを名乗れる「ITストラテジスト試験」などがよい例でしょう。数々の専門資格を取得していけば、キャリアに箔をつけられます。

経営コンサルタント同様に、会社に在籍せずにフリーランスとして働くキャリア設計もあります。仕事の受注を自らの判断で決められるほか、個人的な都合にあわせて柔軟に働くことも可能です。

■まとめ

以上、営業とコンサルタントの違いをはじめ、コンサルタントに転職したときのキャリアについて解説しました。

コンサルタントに転職したあとは、事務所を開設して独立したり、難易度の高い資格を取得して専門知識を身につけたりできます。柔軟にキャリアを設計していけるのが魅力的でした。

自由度の高い働き方を希望する方や、課題を解決できるだけの専門知識に自信がある方は、営業職からコンサルタントへの転職を一度視野にいれてみるとよいでしょう。